私と彼の関係

YUYU

第1話

私と彼の関係



美術館に行かないかと彼は誘って来た。

なんで美術館だと聞くと、どうやら彼の作品がそこに飾られてると。

私は特に用事とかもなく彼の誘いに了承した。

その時の彼の瞳には何かを決意したかのような目つきだった。

ねぇどうかしたのと聞こうと思ったがなぜか口がそれ阻む。

その理由を知ることになるのは、美術館の帰り道だった。

私は少しだけ、オシャレをして彼と待ち合わせの場所に行くと。

彼はもうすでにそこにいた。

いつもの彼ならぎりぎりの時間に来るのに。今日は先に来ていたことに私は驚く。

「遅くなってごめん」私は謝る。

「いつもは俺の方が待たせてるから」と彼は言ってくれた。




館内に入ると。

目に入るのは人物像や抽象画などの多種多様な絵が飾られてた。

一枚一枚の絵はどれも上手で美しい絵ばかりでとても私には描けないレベルのものばかり。

彼が言うには自分の作品はもう少し奥にあると。

私は彼の作品がどんなのか気になるため彼の手を引っ張りながら次から次へと作品を見ながら彼のを探す。

そして、彼の名前が書いてある作品を見つける。

そこに描かれてる絵には男女が一枚のガラスによって手を繋げない状態のもの。

けど、私にはその男女が誰をモチーフなのかすぐに分かる。

男子の方は彼で女性の方は私だ。

私は彼の作品を呆然と見ていると館内の閉店の時間を告げる曲が流れる。



帰り道。

彼と一言も話さないままどこか私たちは近くの公園のベンチに座ってる。そうしていると彼は

何かを告げようと声を出す。

その瞳はまたあの時と同じだった。

「俺——来月からアメリカに引っ越す」

彼の言ったことを理解するのに遅れる。ギューと手のひらを握りながら彼の言った言葉をリピートする

そして彼との思い出が走馬灯のように脳内を駆け巡る。

彼の顔がよく見えない。私は泣いているんだと理解する。



私は子供みたいに彼の胸に抱きつく。

彼は優しく受け入れる。

彼は最後に好きだと言う。

私も好きですと答える。

私たちは笑いながら涙を流し、頭を寄せて手を繋ぎ、またいつか二人で同じ歩幅を歩こうと。



今日の天気はまるで私たちの友達関係から恋人関係に変わったことを祝う夕日だった。

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