そういうもんだよなって。

遠名しとう

そういうもんだよなって。


勇気を出した行動が、私をまた苦しめた。

あのくぐもった声で話す老いた男と、柔らかに笑う肥えた女も、本当は金のことしか考えてないのではないかと疑っている。

家族構成、過去の記憶、辛いこと全部ほじくり返して、同情した振りをしたあと、スルピリドとエビリファイを8日分さらりと売って、また来てねだ。その時私は

「ああ、そういうもんだよな」

って、前に進む足を止めたくなった。


人間は何を考えてるかわからないから怖くて、かといって何を考えてるかわかってしまうと、それは生きてるとはいえないし、そうしている間に自分の周りがどんどんと先へ先へ行ってしまって、疎外感と焦燥感にしきりに襲われる。無気力になった私はベッドに潜って、潜って、潜ったまま。

いつの間にか眠りについて、目覚めた後にまた自分責める。

「将来なにしてるんだろ」って悩んで、適当に22の春に自殺でもしてるんだろうって結論づけて、そうやって日々を浪費する。

実は誰かと分かち合いたくて、そのくせ自分は傷つきたくなくて、針の山を風船で練り歩くような緊張感の中で私は息をしている。

溜め込んだもの全部吐き出せと言われて吐き出したら、周りに誰も居なくなることが分かっているから、ずっと抱え込むしかないのだ。


今までこれからも、多分ずっとそう。


そうして私は今日も、死んだように生きるのだ。


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