エピローグ
「おぉ、ホントに振り込まれてる」
念のため、翌日振り込みを希望した玲央奈は通帳を見て歓喜の声をあげた。
いち、にぃ、さん、よん。ゼロが4つ、3の後ろに並んでいる。久し振りの大金だ。
正直、朝目覚めて、昨日の出来事は夢だったのではないかと思っていた。あんな不思議な出来事が現実であるはずがない。だが、ここにちゃんと昨日の証明が記されている。
昨日1日で玲央奈の世界は大きく変わった。
異世界の存在も、スワント達獣人との関わりも、あの瞬間抱きしめた獣人の子どもの温もりも、ミヤやハチヤとの出会いも、そしてサカモトとの出会いも。全て本当にあったことなのだ。
通帳を握りしめ、玲央奈は口角を緩ます。
そう言えばサカモトにちゃんとお礼を言っていない気がする。「信じている」その言葉を彼はちゃんと守ってくれたのだ。また会えるだろうか。……会えるといいな。
もしまた、次があるのなら返事は決まっている。もちろん、お金の為だけじゃない。玲央奈は知ってしまった。何も知らなかったということを。そう、玲央奈の知る世界の狭さを。まだ見ぬ出会いの可能性を。これから開かれるであろう新たな世界の存在を――。
世界はこんなにも広かった。
きっとそれは、そう遠くない未来。
携帯が震え、あの番号が映し出されれば、玲央奈はこう言うのだ。
「はい、その案件でお願いします」
とりあえず、まずは週1で。
派遣会社スタービジョン 桐富 @zero10_
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★6 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
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