事件の解決へ
渋谷宅
駿河「さてと、渋谷俊介さん以外の皆さん集まりましたね🎵では犯人が分かったので自首していただけると助かるのですが?まぁ自首しなかったら逮捕するだけですけど……」
駿河の自首勧告に犯人は応じなかった
池田「おいおい、犯人たってその犯人は今アメリカだぜ!どうせ犯人は渋谷俊介なんだからよ!」
駿河「犯人がいないのに自首勧告をするほど私はバカではありません、犯人はこの中にいます。ですよね浜松警部補」
浜松「え?おれ?いやいや、俺は犯人でないよ!信じてくれよ駿河ちゃん!」
三島「…あの、たぶん駿河さんは『浜松さんなら犯人わかりましたよね』って意味で名前を呼んだんだと思うっす」
浜松は全く犯人などわかってはいなかったが適当に犯人を指差した。眠る前の眠りの小◯郎よりもひどい推理である。
浜松「犯人はあなたですよ!渋谷幸恵さん!」
三島「絶対適当っすよね、係長」
伊豆「捜査で最初から最後まで被害者になる要素が見当たらなかったですよダンナ!早く謝罪してください!訴訟もんですよその推理」
石上「こうやって冤罪事件って作られていくんですね」
駿河「その通りです!鋭いですね浜松警部補!」
幸恵と駿河以外全員(浜松含む)「えっ!マジ(っすか)!?」
駿河「これからどうやって幸恵さんが泰典さんを殺害したかについて話させていただきます」
幸恵「あ、あの…わたしにはこれといった動機がありません、何で殺そうと思ったのでしょう」
駿河「幸恵さんには最初殺意なんてありませんでした。むしろ愛してすらいた」
池田「わかった!痴情のもつれだ!よくあるだろ!そういうの」
駿河「いいえ、池田さんが証言していたじゃないですか、『被害者は愛妻家だった』と」
三島「だったら動機はなんですか?」
駿河「保険金目的の殺人です。いや、保険金目当ての自殺です」
幸恵「……っ!」
三島&伊豆&石上&池田「そ、そんな…被害者は金持ちだったはずだろ!」
浜松「……?」
駿河「例えば賠償金とか慰謝料とか、池田さんはこうも証言しましたよね『受付の女性社員に交際を迫った、交際してた人が妊娠したらビビって逃げた…何て噂もたつほどです』と、もしこの噂が本当で慰謝料とかを請求されたならその額はバカにできませんよ?
さらに言うなら池田さんの証言には『渋谷常務は責任とらされてここ最近は平社員と同程度の給料で働かされていました』という一言もあります。本当は渋谷氏にはもうそんなお金を払う余裕はなかったのではないですか?」
幸恵「ええ、確かにお金はもう底をついていました!でもその賠償金のせいではなく俊介の趣味に費やされたお金の方が多かったですよ」
三島「あれ?なら俊介さんはなぜ殺されていないっすか?動機なら腐るほどあるっすよ」
駿河「それは父親の渋谷氏がひどい親バカだからです。息子を殺すという選択肢は頭には浮かばなかったと思いますよそれは『自分の息子を優先して昇格されているので昇格意欲の強いやつは悔しい思いをしたかもしれませんね、渋谷俊介、あいつ俺と同期なのにもう係長なんですよ入社三年目で係長は異例すぎます』という池田さんの発言からも見てとれます」
浜松「で、保険金自殺がどうしてあんな自殺みたいな形で実行されることになったんだ?普通なら殺人に見せかけるべきだろう」
駿河「本当は事故を装うつもりだった…そうですよね幸恵さん?」
幸恵「はい…」
駿河「最初は食品によるアナフィラキシーショックで事故死をよそおう予定だった、だからこそカレールーの買い置きが十分あったにも関わらずレトルトカレーを使って食事をしたのでしょう。だが以外にもショックが少なくて、ただ少し喉が痒くなったくらいでしかなかった…この夫婦は前にご主人がそばを食べてきついアレルギー症状が出たことを覚えていたのでしょう『リンゴのアレルギーも持っているからそれと同じ症状が出る!』と勝手に思い込んでしまったわけです。実際にはリンゴアレルギーはアナフィラキシーを発症することなんてほぼないほど軽いものなのですが、この夫婦はそれを知らなかったようです。この夫婦は症状が軽いこのアレルギーを『遅延性のあるアレルギーである』として薬剤を抜いた対アナフィラキシー薬『エピペン』を使ったんです!もちろん本当に効いてしまっては困るので薬剤を抜いたものを注射しました…これが直接の死因となって渋谷氏は亡くなったのです」
幸恵「…そんな…」
駿河「その証拠に被害者は発見されたときスーツ姿でした、これは家に帰ってすぐに食事をしたあとに死んだことの証明になります、殺害されたのが朝方、つまり犯人が第一発見者の渋谷俊介ならばパジャマ姿になっていないとおかしいですよね?これが犯人が俊介さんではない証明でもあります」
浜松「死因まではわかった、だかなぜそこから首を吊らせなきゃならなかったんだ?」
駿河「最悪の場合、容疑を俊介氏に着せる必要があったからです」
三島「え?『親バカだから息子をかばった』ってついさっき駿河さんが言ったことっすよ!?」
駿河「それは父親の話です、母親である幸恵さんはそこまで親バカではなかった、むしろあんなに自分を愛してくれた伴侶が死ぬきっかけを作ったんですからむしろ憎かったんでしょう。『1人殺したくらいでは死刑にならない』彼女がその事を知っていたのなら、自分の父親をここまで追い詰めた償いとして刑務所に入るくらい安いものだ、と考えたのかもしれませんね」
浜松「何で首吊りにすれば息子に罪を着せたことになるんだ?」
三島「浜松さん…いいっすか?まず、首吊りの紐は登山に使うザイルっす、所有者は?」
浜松「登山が趣味の俊介さん」
三島「ボディーガードが外を守ってるなら犯人は内部犯、百キロ超えの被害者をロープで持ち上げられそうな人は?」
浜松「若くて体力もあり、かつ男の俊介さん」
三島「警察が来るまでじっくりと証拠隠滅と偽装工作を進められるのは?」
浜松「第一発見者の俊介さん」
三島「事件を単なる絞殺事件として考えたら真っ先に思い浮かぶ容疑者は?」
浜松「怪しさ満点の俊介さん」
駿河「ということです」
浜松&池田「なるほど~」
駿河「では、被害者を実際にはどうやって吊り上げるのか?これは実践してみましょう!三島くん、この百キロの重り、その5本のザイルで引っ張ってみて」
三島「はい!」
三島は出来る限りの力で引っ張った、しかし全然持ち上がる気配がない…
駿河「三島くんに持ち上げられないものが幸恵さんに引っ張りあげることができるはずがありませんよね、そこで工夫をします」
そういうと駿河はまずシャンデリアを下ろし始めた、それと同時に二階から一本目のザイルを垂らした、一階に移動してシャンデリアの中心部に二本目のザイルの端を結びつけてその逆の端を一本目のザイルの一階に垂れている方に結びつける、二階に戻ってシャンデリアを上に上げて一本目のザイルも引っ張った。
駿河「こうすればシャンデリアと二階がザイルでつながりました」
次に一本目のザイルの何も結んでいない方を一階に垂らす、一階には被害者がわりの土嚢があった。(三島が準備した)
土嚢を椅子の上に乗っけたあとなるべくザイルがピンと張るように土嚢をザイルでくくった…
駿河「あのシャンデリアの重さは約百九十キロ、被害者の体重が百キロですから、このシャンデリアを重り代わりに使えば力がなくても宙吊りにすることができるようになります」
そういいながら駿河はシャンデリアの下降スイッチを押した
するとシャンデリアは下がり、土嚢は上に上がっていった、すると駿河は二階から三本目のザイルで土嚢を引っかけてから二階の柵に縛り付け始めた…縛り終えると一階に移動して下がりきったシャンデリアから二本目のザイルを外して二階へ、二階で一本目のザイルを土嚢から回収、(この時点で土嚢は三本目のザイルに支えられているため落ちることはない)このような作業を終えた駿河は一階でこれを見ていた浜松たちに言った
駿河「このようにすれば私は片手で百キロの土嚢を持ち上げることが出来ました!私が片手の力だけでできる作業が幸恵さんにできないはずがありません!」
浜松たちはこの発想は思い付かなかった…ならば幸恵さんに思い付くことができたのだろうか?
浜松「幸恵さんはどうやってこの仕組みを思いついたんだ?」
駿河「この持ち上げ方の基本的原理はエレベーターと同じです、エレベーターは人が乗り降りする「かご」と滑車を介して吊り下げられている「釣合おもり」で重量のバランスをとり、少ないエネルギーで効率的に動くようになっています、釣合おもりの重さは、「かご + 定格積載量の半分」となるように設計されますそして幸恵さんは昔エレベーターの修理の仕事をしてましたからこのような知識もあったのではないですか?」
幸恵「参りましたよ、刑事さん…そうです私が殺しました」
オタクな刑事が幸運だけで犯人を捕まえたんだが? ground_forest @ground_forest
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