悲しき男、グンバルハルマ
時は西暦20XX年。数年前、宇宙から謎の5足歩行生物『アンジークギガインペクト』が飛来して以来、そいつらのせいでこの地球はひどい荒れようだった。
地球上のあらゆる生物へジェノサイドを繰り返し、だいたいの生き物が10分の9になってしまった。
もちろん人類も例外ではなかった。そして、それを人類が黙って見ているわけでもなく、インペクトと人類は交戦状態となっており、戦いは未だ終わりが見えずにいた。
場所は幾多ある戦場のひとつの荒野。戦いは一先ず落ち着いており、物陰に二人の人類の戦士がいた。そのうちの一人は、横たわり、今にも息絶えようとしている。
「ヘルジョイ! ヘルジョイ! 死ぬなヘルジョイ! 我ら人類軍の10万人はいる幹部の一人であるお前がいなくなろうと、なんとかなる局面だが、死ぬな! 帰ってHなフォルダ処理するんだろ!」
弱って横たわるヘルジョイという戦士の側で歴戦の目をした男は必死に呼び掛けていた。それも虚しく、ヘルジョイは衰弱していく一方だった。
「グンバル……ハルマ……近くにいるのか……? あとは任せたぞ……。パスワードは……『TYNTYN114』だ……。たゆんたゆんいいよ、と覚えてくれ……」
グンバルハルマと呼ばれた男は、涙ぐみながらヘルジョイの手を強く握り言った。
「馬鹿野郎! 生きて帰って、自分の手でフォルダは消せ! いいな?!」
しかし、ヘルジョイにその声はもう届いていなかった。インペクトの猫だましのような攻撃で、五感をやんわりやられていたのだ。
「厄介なことを押し付けてしまったな……許してくれハルマ……だが、これで、安心していける……」
「この不細工巨乳熟女人妻百合厨の変態性癖糞野郎が! お前言ってたじゃないか、また平和な地球でドキドキしながらお気に入りの動画を拝みたいってよぉぉぉおお! その時はもう誘わないで欲しいが!」
グンバルハルマは軽く痙攣しているヘルジョイを激しく揺さぶった。すると、ヘルジョイは血を吹きあたりを赤く染めだした。
「しまった! ヘルジョイ! そんなつもりじゃ……」
グンバルハルマは慌てて止血しようとヘルジョイの首を絞めた。慌てすぎである。ヘルジョイはますます顔を青ざめ、目は虚ろに、口からは血のかわりに泡を吹き出した。
「しまった! ヘルジョイ! そんなつもりじゃ……」
グンバルハルマが首から手を離すと、ヘルジョイの頭は強く地面に叩きつきられた。ヘルジョイの中でぷつんとなにかがきれた。とどめとなったのだ。
「あうぅ……苦しい、まるで激しく揺さぶられ、首を絞められ、頭を叩きつけられたようだ……お、恐ろしい。死ぬのか……俺は……」
ヘルジョイは濁った目で明後日の方向を見つめると、天を手で仰ぎ、最後の力を振り絞り、叫んだ。自分が感じた苦しみ、まだ戦闘は続いている、戦友グンバルハルマを助けねばと思ったのである。
「このヘルジョイ! まだやられてはおらぬわ!」
ヘルジョイは子鹿のごとく立ち上がると、グンバルハルマから離れ、ただ前へ前へとふらふら歩きだした。その手には新兵器、プラウム・スチック爆弾を握りしめていた。
「やめろぉ! なにをとち狂っている! そんなんでフォルダは壊せんぞ! よせぇぇええ!」
「さよならハルマ……忘れるな、たゆんたゆんいいよ、だ……ぞ……」
どぅっこおぉぉん!!!
「ぐわぁぁぁぁああう!」
爆風で吹き飛ばされるグンバルハルマ。しかし、歴戦の受け身術でなんとか衝撃をいなし、なんなくを得た。
爆発の起きた場所には消炭だけで何もなくなっていたが、グンバルハルマは敬礼をしていた。
爆発を聞きつけ、周りに集まってきたインペクトの中で。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
未来からの二、三言。
なにが書きたかったんだろう。
恐らく、グンバルハルマはスティーブン・セガールで、ヘルジョイはモーガン・フリーマンです。
当然のごとく、続きはありません。
新解釈タイムパッセージィ エフ氏になりたかった豆 @efusi
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