エピローグ「志乃の大パニック、俺もパニック」
無事に元の世界へ戻って来てから、3日ほど経った。
そろそろパニクってる頃だろうと、俺はまたまたダンボール一杯の野菜を持って叔母さんの家に向かう。
「あらあら、また悪いわねぇ」
「叔母さん、志乃は?」
「あの子昨日からバタバタと何か
またまた、晩御飯の対価としてあいつの様子を見て来てくれと頼まれたので、俺は志乃の部屋へと向かう。
「おーい、志———」
「まーさー、兄ぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーー!!」
予想通り志乃はパニクっていた。
「どうしよッ!どうしよッ!エンスタは大炎上してるし、あっちこっちから取材の申し込みを受けてるしッ!!」
スマホを持ってあっちへウロウロ、こっちへウロウロと忙しい奴だ。
まあ、そりゃ異世界の写真をUPしたらそうなるわな。
「どれ、見せてみろ」
俺は志乃のスマホを見る。
「いち、じゅう、ひゃく、せん……」
たった3日間で数千万の”いいぜ👍”と無数のコメントが表示されている。
「まあ、これで友達にも馬鹿にされないだろ?」
「馬鹿にされないどころか、今や他のクラスの生徒まで私を見に来るくらいの超有名人だよっ!!」
「良かったじゃないか、お前バカっぽいし『なんか気が付いたら異世界に居て、いつのまにか元の世界に戻ってました。キャハ♪』って言っときゃ大丈夫だろ」
写真に写っているのは基本的に向こうの世界のもので、こっちの世界のは志乃だけだしな。
俺が事前に準備しておいた完全無欠の良い訳である。
「私だけならそうかもだけど……バカじゃないけど。でも……」
俺はエンスタにUPしている写真を指でスクロールさせる。
……え゛?
「なんじゃこりゃあ!!」
「あっ、うん。それ、私が撮った割には結構いいショットだったし、UPしてもいいかな?って」
一番下にある最後の一枚は……俺が暗地竜に目掛けて放った最後の一閃だった。
竜へ目掛けて何度もフラッシュを焚いていたってことは、つまり写真を撮っていたってことだった。
なんで俺はそんなことを失念していたんだ!!
「いいわけ、ないだろうが!!」
もはや、『私バカだからわかんない♪』作戦が台無しだ。
基本俺はSNSをしないし、ボッチだから当分は大丈夫だと思うが、もし顔が割れてしまったらこっちにまで取材の波が押し寄せてくるだろう。
「あっ、でも、大丈夫かも!」
「一応聞いとくけど……何が大丈夫なんだ」
「ほら、私の友達にちーこって子がいるじゃん?」
ああ、確かこいつの小学校からの友達だったっけ?なんかIQがおっかない超天才なのに何故かこいつと同じ学校に通っているとかいう奴。
「そのちーこに相談したらね、『実はCGでしたって再現する動画を作るからなんとかなる』って言ってたよ」
「現代技術でそんなことできるわけねえじゃねえか」
「ん?よくわかんないけど『デジタル画像なんて所詮は色のついた点の集まり』って言ってたよ」
た、確かにそりゃそうかも知れんが……
「でね……その条件?として……ちーこにもあっちの世界に連れて行ってくれるならって言ってたから、、、オッケーって言っといた!キャハ♪」
キャハ♪じゃねーよッ!!
どうも、今度はJK二人を連れて異世界へ行かなければいけないことになったらしい。
(完)
センスが無くてかなり落ち込んでいる俺の従妹を、異世界でエンスタ映えさせてやりたいッ!! あさかん @asakan
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