赤瞳の異端な神獣
@senguuji
第1話
「塚田三等民兵、特A級戦闘官への昇進を命ずる。」
「最高長官殿、拝命します‼︎」
ここは日本防衛省直轄対仏テロ機関、通称JMDTの最高諜報員室。薄暗い最高長官室での昇進辞令はいつものことらしい。部屋の中には俺と長官だけ。長官は女性。すごく綺麗で、とても話しやすい気さくなお方だ。
「しかしすごいな。民兵から特A級戦闘員になってしまうなんて。」
「ありがとうございます。」
民兵から戦闘員入りは、普通はありえないことらしい。特に、特A級戦闘員は産まれた時から神獣という使い魔のようなものを継承された人間でないと入れない。神獣の存在は一般的には公開されてなく、神獣を継承しているかどうかは警察、及び防衛省への配属先の割り振りの際に秘密裏に検査される。だが俺の場合、検査では可能性なしという結果が出ていたらしい。
この日本列島は2058年の明残光寺事件から二つの国に分けられてしまった。位置関係は旧日本は東日本側、神仏国は西日本側となっている。神仏国とは言っているが、結局はただの過激派組織だ。
「とりあえず、私が君を特A級戦闘官室まで案内しよう。」
「最高長官殿が直々にしていただけるのですか?」
少し嬉しい。いや少しどころではない。さっきも言ったが、とても美人なのだ。
「ああ。あと、その最高長官殿ってのやめてくれないだろうか‥‥?は、恥ずかしい。」
照れているのか?可愛すぎる!!!
「では、なんとお呼びすれば?」
「‥‥飛鳥。飛鳥と呼んでくれ。みんな私の事はそう呼んでいる。」
「はい。これからよろしくお願いします飛鳥最高長官!」
「それ、変わったか?」
「え⁈うーん、じゃ飛鳥さん‼︎」
「よし!じゃあ、これからよろしく、塚田 智 特別A級戦闘官!」
そう言って俺たちは最高長官室をあとにした。
「そう言えば飛鳥さん、神獣というのがまだよくわからないのですが、教えていただけませんか?あの時の事についても。」
実のところ例の覚醒した日の事を俺は覚えていない。何がどうなったかすら‥‥
「うん、そうだな‥‥。」
そう言って飛鳥長官は重苦しくなっていく空気と共に、重い口を開いた。
赤瞳の異端な神獣 @senguuji
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