キャラクターは生きている

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「小説の登場人物キャラクターに必要なのは、設定資料ではなく履歴書だ。作者は彼らを手取り足取り操るのではない。コースを書いた地図と誘導する餌を用意するだけなのだ。そう、彼らはラブドールよりも、よりリアルに生きていなければならない」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


■解説

 よく物書きが「キャラクターが勝手に動く」ということがあるが、アーダルトが言っていることは正にこのことかもしれない。

 彼はキャラクターを生みだすときに、設定資料という形ではなく、実際の履歴書のような物を用意してそれを埋めていくようにしていた。


登場人物キャラクターにあるのは、性別、形容、特技などの現在だけではない。それだけでは二次元へいめんだ。彼らにも歩んできた過去があり、これから目指したい未来がある。その歴史が登場人物キャラクターの厚みとなり三次元リアルとなる」


 これは、彼の文学書に書かれた一文である。

 彼は登場人物キャラクターを作るとき、設定するのではなく、「実際にその人がいたら」と思い浮かべながら履歴書をうめろと弟子たちにも説明している。


 そしてリアルに描かれた登場人物キャラクターたちは、その過去や未来にそって勝手に動きだすという。

 作者はその彼らに、シノプシスという地図を渡し、エピソードという餌を撒く。

 たまに登場人物キャラクターが、その地図や餌を無視することもあるだろう。そこを誘導するのが作者の力量ということらしい。

 動きだした登場人物キャラクターたちは「思った通りに動かず勝手に動く。こちらが動かせば思った通りに動いてくれるが、自分からは動いてくれないラブドールとは大違いだ」と語っている。


 正直、小説を書かない解説者である私にはピンとこない話ではある。


 ちなみに、このことから彼がラブドールを持っていたことは明白だ。どうやら「ドエロスキースペシャル」というオーダーメイドモデルのラブドールを彼は愛用していたらしい。

 これがどんなデザインなのか諸説あり、現在ではJADESS(日本アーダルト・ドエロスキー研究会)が某有名メーカーに協力を仰ぎ、この幻のオーダーメイドモデルの再現に勤しんでいるという。


 なお、JADESSメンバー限定特典として、「ドエロスキースペシャル」が手に入るクラウドファンディングが運用されており、このために入会する者もいるぐらいである。

 解説者ももちろん投資しているが、それはあくまで完全に仕事上のつきあいでしかない。オプションのウィッグも申し込んでいるのもつきあい上である。


 ラブドールのためにJADESSに入会するなど、まったく嘆かわしい限りである。







――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

PR:もうエロ変態たくさんだ、ハートフルなファンタジーが読みたいという方へ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


●【異世界ティファーニで朝食を~アナザーワールド・ツアーコンダクター】

 異世界で自殺するために異世界旅行会社を訪れた女性。

 しかし、そこで出会ったツアーコンダクターは……食いしん坊だった!?


https://kakuyomu.jp/works/1177354054883976632/episodes/1177354054883976906

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る