流行とは欲望の上っ面

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「売れる物語の流行は、上っ面が変わっても根底にあるのが欲望であることには変わらない。そしてまちがいない欲望は、性欲である。性欲は低次的欲求ながら、物語では高次的欲求と並んで扱われる事が多い」


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■解説

 その時により、ブームは異なる。

 たとえば、西暦2010年代の日本のWeb小説の流行と言えば、異世界、ハーレム、俺Tsueeeであろう。

 しかし、アーダルトはこのような分類は上っ面にすぎないという。少し分解してみていこう。


 当時の「異世界転生・転移」は、逃避欲求だったり、顕示欲求、承認欲求だったりする。もし「異世界転生・転移」を上げておきながら、これらの欲望が解決されていない物語は、当時の日本の読者に不満を与えることになるかもしれない。


 蛇足だが、それよりも少し前の「異世界」に対する欲求には、もっと色強く、求知欲求(好奇心を満たす欲求)や解明欲求(事柄を解釈・説明・講釈する欲求)が含まれていたと思う。しかし、それは逃避欲求等が強くなった時点で薄まっていった。


 しかし、考えてみればこれらの欲望は、異世界以外でも語られていたことだ。ただ単に当時は「異世界転生・転移」というのが、これらの欲望を網羅したシンボルのようになっているだけなのだ。

 もちろん、「ハーレム」や「俺Tsueeee」も単なるシンボルであり、根底となる欲望こそが読者が求めている内容である。


 アーダルトが言う「上っ面」とは「シンボリックな言葉」ということなのではないだろうか。

 だから執筆者は書くときに、シンボルに惑わされず、その時代の読者の欲求を見つけ出して書くことで、たとえば「異世界」に囚われないヒット作を生みだすことができるはずである。

 ただし、やはりシンボルはわかりやすい。シンボルがあれば、読者は手に取りやすいことはまちがいない。シンボルのない小説を書くならば、読者が求めている欲求が含まれていることをタイトルやキャッチコピー、あらすじなどで美味くアピールする必要性が出てくるだろう。


 さて。

 そんな欲望の中でも、アーダルトは「性欲はガチ」と言っている。

 性欲はご存じ三大欲求のひとつであり、生理的欲求という低次的欲求である。

 上記に出てきた「ハーレム」というシンボルにあるのは、支配欲求や攻撃欲求などもあるが、基本は性欲である。

 どんな時代でも、性欲は廃れることはない。


 つまり、「確実に受けたければ、エロい要素を入れろ」ということなのだろう。

 ただし、これは彼の意見であり、好みであることは明白である。


 たとえば、三大欲求の「食欲」を入れることで「性欲」をカバーすることもできる。昔からこの2つの欲望には、関係性があり互いを賄うことができるとも言われている。

 同時代にグルメ物も流行を見せたのは、わかりやすい例と言えよう。


 ちなみにアーダルトも、持て余す「性欲」を解消するために「食欲」に走った。だが、それだけでは解消しきれず、さらに運動で発散するということをくりかえすようになっていた。

 おかげで彼は、文学者でありながらシックスパックを持つ筋肉質な肉体を持っていたというのだから驚きである。

 もしかしたら彼は、進む道をまちがえていたのかもしれない。



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