透明な温度
@minato_hotaru
第1話
バラ園の配管は剥き出しだった
それはお昼休みに遊んでいた
少女の腕に深く突き刺さり
緊急手術が行われている
命に別状はないと言うけど
大きな傷跡が出来てしまった
半袖を着ることもなくなって
少女の夏は終わろうとしていた
僕も翌日から長袖を着て
夏の残酷な暑さを忘れ
今は秋なんだと教えたかった
少女は一生背負い続ける
長袖という重たい羽衣を
傷跡という冷たいかさぶたを
バンドエイドを取り替える時に
僕がその場に居合わせるのは
少女の心が開けて来たから
病院の白いベッドに座り
初めて傷跡を見せた少女の
指先に似合うマニキュアの色は
二人だけの秘密にしような
透明な温度 @minato_hotaru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます