第29話 何か魔法の剣

 魔法の剣が欲しいとよこしまなことを考えていると、おいしい話が舞い込んで来た。

 村をぶらついていた時のことだ。


「おい、そこの豚のおじさん。とっておきの話があるぜ」

 いかにも成金野郎が、酒場から出て来て、肩をつかんだ。


「吾輩は、セクシー・ド・ヨンゲーン。豚のおじさんではない。とっておきの話とは、私には敬愛する姫がおるので、酒場には用がない」

 軽い力で腕を振り切った。


「敬愛する姫とやらはどこにおる? あ?」

「すまないが、その話は長くなるので、割愛させてくれ」


「いいや、興味がある。もしや、あの伯爵にとらわれた姫のことではないか?」

 ビビリの成金野郎は、急に小声になった。

 耳打ちされても困る。


「ああ、そうだと言ったら?」

「魔法の剣が欲しくないか。魔法の剣でヤツを一突きにすればいいさ」


「その剣とは……」

「いよ! 乗ったね、おじさん」


「ポン引きか」

 豚チョップを入れる。

「ちげーよ。この地図を買って欲しいだけだ」


「地図とな。魔法の剣の地図か」

「察しのいいことで」

 成金野郎がチラ見させた地図は、かなり古いものだった。

 眉唾物ではなさそうだ。


「いくらだ」

「お安くしておきますぜ。15リールで」

 追従して来たな。


「15リールか……。足元を見られたものだ。致し方ない」

 決して立派ではないが、愛用の背負いカバンから、財布を出した。

 小銭でふくらんでいる。

「いや、20リールでもいいぜ」

「これは、小銭だ。20リールも入っていない」

 中身を見せたら、なんと、その成金野郎が、財布を奪おうとした。

「やめろ!」


 >分岐<


 A 漢は寡黙に。

   第39話へ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884257639


 B おしゃべりにはおしゃべりだ。

   第40話へ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883918985/episodes/1177354054884257753

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