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saki

第1話ズレた世界 実話 F隧道

 心霊現象という言葉は誰もが一度は耳にした事がある言葉だろう。

 世の中には不思議が満ち溢れていて......恐怖が身を潜めている。

 例えば、今貴方はこうして画面を眺めているが、周りには誰も居ませんか?


 窓から誰か覗いて居ませんか?

 壁の向こうから物音は聞こえませんか?

 天井から視線を感じませんか?

 隣に座っているのは誰ですか?

 肩に手を乗せいてるのは誰ですか?


 え?そんな事は無いし、誰も居ない?

 それは良かった。貴方はまだこちらに踏み込んでいないようですね。

 ですが、忘れないでください。一歩踏み出した先には闇があり、そこにはこの世界とは別の景色が広がっているのです。


 怖いって何ですか?

 危ないとは違いますよ?


 それに近づくと危害を加えられそうで不安である。自分にとってよくないことが起こりそうで、近づきたくない。

  悪い結果がでるのではないかと不安で避けたい気持ちである。

 不思議な能力がありそうで、不気味である。


 廃墟に入った経験はありますか?

 夜のトンネルへ歩いて行った事は?

 深夜の公園を歩いた経験は?

 夜の浜辺を一人で歩いた経験は?


 不安を感じたならば貴方は正常です。

 何故ならば、人は本能的に闇を恐れるから。

 暗いから怖いのでは無くて、暗いと目が見えないから怖いという人間の本能です。

目を閉じて歩いたら怖いですよね?


 多くはそういう理由です。

 ですが、そうじゃない場合があります。


 人とはズレた世界に身を置いた時、貴方は違和感を覚えるでしょう。


 突然寒気を感じた経験はありますか?

 コツコツと響く足音は本当に貴方の足音ですか?

 鏡に映った世界には違和感を感じませんか?


 条件に合致した事は無い?

 それは良かった。貴方はまだこちらに踏み込んでいないようですね。


 では、殺人現場へ行った事はありますか?

 貴方が暮らす家の周囲で事件が起きた事はありますか?

 交差点に献花を見た記憶はありませんか?

 古くからある木造の校舎に入った事はありますか?

 お葬式で火葬場へ行った経験はありますか?


 ありふれた景色とは違う空間に不安を感じた事はありませんか?

 貴方の傍にはこんなに沢山の霊が存在しているのに、目に映った景色には死が溢れているのに、貴方は知覚出来ないのか、知覚したくないのか、まだこちらの風景を知らないようですね。


 何気ない景色の中にも確認する事が出来る物ですが、心霊スポットと呼ばれる場所には特に見やすい条件が揃う為、比較的に見やすくなります。

 貴方の知覚するチャンネルがあちら側に引きずられていくからでしょう。


 これから紹介するのは実話です。

 有名な話がある場所ではありますが、筆者は二度と行きたくありませんし、もし読者様で行きたいと思った方が居ても絶対に行って欲しくありません。


 こうやって文章として形にする以上は、自分自身が恐怖を思い出す意味で嫌な気分になりますが、恐怖を知ってもらいたいという意味では黙っているのもどうかと思います。

 主観が混じっている為、若干誇張した表現が混じるかも知れませんが......実話です。


 体感温度はとても重要です。

 真夏なのにやけにひんやりしていたり、雨が降った後でも無いのにやたらとムシムシするのは危険なサインだと思っています。

 もし、感じた事がある人、感じた人はそこには近づかない事を強くお勧めします。


 G県 Cトンネル(F隧道)国道4○8号のG県K町にあるトンネル。 昭和31年ぐらいに完成したトンネルらしいです。

 執筆するに当たってWIKIで確認した情報ですが、K下流に建設中のSダムの完成により水没する予定であるが、現在ダム本体の工事が凍結中であるためトンネルは健在である。との事です。

 隧道←(すいどう、ずいどう)と読みます。昔は意味が分からなくて、読みと一緒に意味を調べた所、トンネルの事を指します。

 もう一つの意味として、棺を埋めるために、地中を掘り下げて墓穴へ通じる道。はかみち。という意味があるそうです。


 ここでは昔の話ですが、トンネル工事の為に、多くの朝鮮人労働者が働かされていたそうです。(働かされていた→強制労働させたらしいです)

 噂なのでどこまでが真実で、どこまでが嘘なのかは分かりませんが、工事が難航したため人柱として労走者達をトンネル内の壁に埋め込んだとか、使い物にならなくなったらトンネルの壁に塗りこめたという話があります。

 終戦後なので、時系列的に考えると。噂は所詮噂なのでは無いかと思いますが、そんな事はどうでもいいです。


 行ってみようと思った方へ注意!現地では電話の電波が入らないので、緊急事態が発生してもどうにもならないので本当に注意してください。

 一応、アクセスを書きますが、Fトンネルは国道4〇8号の通行禁止区間にあります。

 K川沿いに東へ行くと、青の案内標識があって、国道側の矢印に罰印がつけられているのを目印にしてください。

 3〇3号線へと続く三叉路の場所になります。


  今現在はどうなのか分かりませんが、舗装がされてませんし、細かい物から中ぐらいのものまで、落石も多目でかなり路面の状態が悪かったです。

  このトンネルは内部は舗装されていましたが、トンネルに続く道は廃道でした。

 ここら辺の情報はネットで検索しても大抵同じような事が書かれていますので、基本情報といった所でしょう。


 さて、予断ですが嘘じゃなくて真実なので書きますが、これを書いている今現在に感じている事ですが、冗談抜きに肌寒くなってきました。(クーラーつけてません)

 ヘッドホン着用で、音楽を聴きながら書いていますが、変な音が聞こえましたし(気がしただけかもよ?)何か嗅いだ事の無い臭気を感じました。

 臭くはないですが、決して良い臭いではなく、嗅いだ事が無いような臭いでした。

 怪談話や心霊スポットでよく起きる事ですね!?ハハハハハ......正直、書くのを止めて眠りたくなしました事を告げます。


 脱線しましたが、続けます。

 これは12年前の話です。

 当時免許を取ったばかりの友人Kの車に乗って4人で向かいました。

 友人A、友人K、友人M、私というメンバーでしたが、心霊スポットで友人に聞いたFトンネルへ行こうという誘いに乗って夜間に出かけました。


 地元がG温泉なので(現在はG市だったはず)行きに余裕を持って移動しましたが、現在と違ってコンビニもあまり無く、コンビニT(知ってますか?)で弁当と飲み物を購入して出かけました。

 ノリノリの友人Mと、運転でテンション急上昇の友人K、付き合いなので仕方なく来た私、怖い事が好きなAは下らない話をしながら目的地へ移動していました。

 特にトラブルなんかは無く、順調に進んだ私達は現地への道を順調に進んでいました。


 思えば、この時に誘いを断るか、中止を提案していれば良かったと今は後悔しています。

 向かう途中に、対向車2.3台位とすれ違っていましたが、この時は同じ目的の人かな?とか釣りか何かの帰りかな?位にしか思っていませんでした。

 この時点で午前1時だった事に私は違和感を感じるべきでした。


 現地へ到着した我々4人は興味本位で来ただけで、トンネルを歩いて移動するような勇気も無ければ、根性も持ち合わせていないので、車でトンネルを移動しました。

 特に何事も起きずに反対側に出たのですが、その時に寝るなり、すぐに帰ろうと提案すればこんな事は無かった?のかも知れません。


 真夏の夜で暑い中でしたが、車内は冷房も掛かっているので暑くはありませんでした。

 逆に肌寒く感じた友人Mと友人Aが外に出て空気を吸うという事で、タバコ片手に外の景色を眺めていました。

 私と友人Kはというと、弁当を食べながらアニメの話で盛り上がっていました。最後には帰り道の話になり、運転手だった友人Kは行きの狭い道は神経を使ったので、もうここには来たくないなと話していました。

 私は話しながらも内心は来なければ良かったなぁと、車のライトに照らされた森を見ながら思っていました。


 その時に、冗談なのか本気なのか分かりませんし、確認していませんでしたが、通り過ぎる人影?だったかと、こっちを見ている人影だったかが見えたと車内に滑り込んできた2人に押されて、友人Kが車を発進しました。

 トンネルに入りましたが、このトンネルは明かりも無く、途中で曲がっているので反対側が見えません。

 車のライトだけを頼りに安全運転で進む以外無く、助手席に座った友人Aと、私の右に座った友人Mが騒ぐのを鬱陶しいと思いながらも車に乗っていました。

 横に寝そべりながら運転席に座る友人Kと話をしていた為、急に車に乗り込んできた友人Mに足を掴まれて左に押された私は、掴まれた足首が爪が擦れたからかヒリヒリするのを感じていました。


 ネットに上がっているような状況が実際に発生した私は恐怖を感じていましたが、全員が無事に帰り着く事が出来てホッとしていました。

 ところが、翌日の朝に友人Mから連絡が入り、私達4人は友人Kの家に集まりました。土曜夜から日曜日に掛けての肝試しだった為、全員予定が無くあっさりと集まりましたが、呼ばれた内容を聞いてゾッとしました。


 友人Mの着ていたTシャツの右脇腹部分が、何かに引っかかった様に破れている事と、友人AのGパンの尻部分に足跡の様な染みが出来ていた事です。

 友人Aには汚い話ですが、糞でも漏らしたか?等と冗談半分に言っていたのですが、友人MのTシャツを見せられた時は言葉がでませんでした。


 車の周囲には枝や草等は無く、タバコを吸っていただけの友人MのTシャツが何かに引っかかるはずが無かったからです。

 自作自演の可能性も考えましたが、今回の外出を他の誰かに伝えていた分けでもなく、学校を卒業した我々が誰かに見せる機会も早々に無いので、そんな事をする意味も無かったのです。

 そして、一番恐怖を感じたのが、友人Mに握られたと思っていた私の右足首に掴んだ後が残っていた事です。

 友人Mが掴んだのは私の右足の靴であり、足首では無かったのです。


 右手の中指が欠けた4本指の手に掴まれた右足首が赤く腫れて、アキレス腱部分にミミズ腫れが出来ていた事に恐怖したのは、もう思い出したく無い思い出です。

 この件が関係あるのかは分かりませんが、それから連絡を取っていなかった友人Aが亡くなった事を数年前に友人Kから噂で聞きました。

 その肝試しから2年後に友人Mが車で衝突事故を起こし、内臓破裂をした事は今も覚えています。

 私自身も、なぜか右足に怪我をする事が多くなりました。

 現場仕事をしているので怪我は付き物ですが、何故右足ばかり怪我をするのかは今も不思議です。


 又、私が対向車が2.3台居たはずと記憶していますが、運転していた友人Kは、道から転落しないように動かした事と、1台だけ対向車が居た事しか記憶に無いそうです。

 あーー......数が合いませんね?ちなみに、カラーは黒だったそうですが(発見しにくくてビックリしたから覚えているそうです)、私が見たのは白い車でした。


 さて、この話を書き終わった私は寒気がするので、沸かしておいたお風呂に入る事とします。

 貴方は体調に変化を感じましたか?何も無いですか?

 それは良かった。貴方はまだこちらに踏み込んでいないようですね。


 私から忠告を差し上げるならば、むやみやたらに振り向かない事と、視界の端をじっくりと見ない事ですかね?よけいな物が視界に入るかも知れません。


 集中している時とか、レム睡眠の時だとか、色々な条件が心霊現象や恐怖体験に関わりがあると言われていますが、私には真実は分かりません。

 ただ、臆病になったからか、あの体験があったからか、私は空気の変化に敏感になった気がします。

 人ごみにいても、存在感の強い人や、その逆で薄い人が眼に入ったりするのは気のせいでしょうか?私には分かりません。


 私に言える事は、むやみに心霊スポットと呼ばれる所には近寄らない事、ビビッと直感が反応した場所には理由無く行かない事でしょうか。

  明るくてもF隧道は不気味です。絶対に行かない事を強く念押ししておきます。


 貴方が何かの拍子にチャンネルアウトしない事を祈って終わりとします。


                       平成29年 8月27日 Saki283

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