訳者あとがき

 こうして、どこか人知れぬ闇の中に『ピッノキオ』という名の、世にも不思議な生ける人形が誕生したのだった。

 後に【闇に潜む医師】はおのれの予感が正しかったことを知ることになる。

 彼らの生み出した人形はやがて『あちらこちらの思惑』にほんろうされ、幾多の人々の命運をり合わせる旅へとその身を投じることになる。二人の天才は自らの救った命によって邂逅かいこうすることになるのである。


 この旅程を書き留めた古い日誌が、どうした因縁か今、私の手元にある。

 古い外国の言葉で記されているため読解は遅々としてはかどらないものの、翻訳が済んだ箇所を読む限り、なかなか興味深い。

 決して史実に追記されることはないであろうが、他ならぬ私がそうであるように、こうした『隠れた歴史』に興味をもつ方も幾分かはおられるだろう。

 いずれ機会があればご紹介したいと考えている。


(了)

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ピノキオ異聞 玖万辺サキ @KumabeSaki

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