J( 'ー`)し<あんたの小説投稿しといたで

ちびまるフォイ

J( 'ー`)し<ちょっと話あるで

「なんだこれ? カクヨムオカン機能……?」


オカン:ON


新しい機能が入ったのでとりあえずONにしてみた。

すると、近況報告や小説にコメントが届いた。



>あんたまた新作書いたのけ?

 書くのはいいけど、連載して放置してるのどうするんね?



「……う、うるさいなぁ」


深夜の勢いで書いた異世界ファンタジー小説の存在なんてすっかり忘れていた。

「いつか書くから」と放置していたままだった。


まぁ、気付かせてくれた分だけまだいい機能なのかもしれない。


しばらく時間を置くとまたメッセージが届いた。



>あんた、非公開でいつまでも続き書かない小説あったやろ?

 オカンが整理しといたで



「え゛っ」


あわててマイページを確かめると、書きかけの小説が削除されていた。

怒りのあまりすぐにメッセージに返信する。



>なに勝手に消してたんだよババア!!

 これから書くつもりだったのに!!!!


>あんた、そういってずっと放置してたじゃないかね


>アイデアが下りてこなかっただけだよ!!! もう勝手に消すなよ!!!



「なんだよこのクソ機能……」


たしかに、2話まで書いて途中で投げ出したまま半年以上書いてなかった。

それでもいつかは書くかもしれないと残してたのに。


その日、オカン機能をオフにし忘れたまま眠ってしまった。



翌日、応援コメントが届いていることに気付いた。


『最新話の展開、すごく面白かったです!

 描写も作者さんぽくないこだわりを感じました!』


「え? 最新話? まだ投稿してないよな……?」


連載している小説の最新話はまだ書きかけだったはず。

確かめると、すでに完成した状態で投稿されていた。


しかもちょっと面白い。

犯人はオカンしかいない。



>おい!! 勝手に俺の小説投稿しやがったな!!



>誤字もあったからオカンが直しといたで


>勝手なことするなよ!!!! 死ね!!!


>フォロワーさんも次の話待ってたからオカンが投稿してあげたんよ


>いちばん評価されやすい時間帯に投稿しようと思ってたんだよ!!!!


>あんた、誤字だらけの小説投稿する気だったんかい?



>もういいかげんにしろ!!!!



オカン:OFF


機能を切ると、一気に静かになった気がした。


「はぁ……これでよし。ホント余計なことしかしねぇんだから……」


オカン機能を切っての執筆生活がはじまった。

機能が追加される前はこんなにも静かに執筆していたのかと思うと不思議だ。


オカン機能をオフにしてからだいぶ時間がたった。


いままで煙たく思っていたオカンメッセージも来なかったら来なかったで

なんというかものさびしいというか……。


「ちょっと入れてみるか」


オカン;ON



機能を入れた瞬間、津波のように未読メッセージが送られてきた。


>最近、コメント返信ないけどあんた体大丈夫かね?

 ちゃんとごはん食べてるんかね?


>あんた新作書いてないみたいだけどスランプかい?

 オカン、ちょっとなら手伝えるから困ってるときはすぐ言うんやで


>あんたテレビゲーム小説好きだったやろ?

 オカンがフォローしといたから時間あるときに読んどき



「オカン……!」


どのメッセージも俺を心から心配するものばかりだった。

あんなにうるさく感じていた愛情が今になってしみいるように実感する。


もう涙で画面が見えない。


「オカン、俺が悪かった!! 俺が言い過ぎたよ!!」


コメントするとオカンからすぐに返信がきた。





>あんたの昔書いた小説で、小さな女の子の奴隷を

 一緒に寝たりとか体さわったりとかシーンあったことについて

 これからカクヨム家族会議するで




俺はすぐにオカン機能を切った。 

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