第55話公開処刑の時間だあああああ!

 

一時の友情は徹頭徹尾壊れてしまったようだった。


僕と小夢は今や友達ですらなかったけれど、少なくとも彼女は最後に善良さだけは保持してくれていたらしく、僕がパンツを盗んだとは誰かに話すようなこともなく、僕のために教室における生存のチャンスを残してくれていた。

 

事ここに至って、雲逸との賭けは、どうやら僕の完敗となったようだ。

 

話題を変えるべく、僕はわざと奴に映河の女子生徒とはどうなったのかと切り返してみた。


奴の口元が脳卒中を起こしたみたいに捲れ上がったのを見てとるや、僕はまずい事態になっていることを悟った。


二人はすでにネット上でのお喋りから、家を出て街中をぶらぶらするところまで進歩してしまっていたのだ。

 

それから奴が映河の女子生徒がどれだけ親切で優しいか、その美しさたるや沈魚落雁傾国傾城云々と語るのを、すべて聞き流し、ただずっと視線を教室の一方の端に座っている小夢へと投げかけ、精神の力でもってして彼女の考えをなんとかコントロールし、彼女に心変わりをさせ、僕が変態ではないことを知らしめることはできないかと考えていた。


 

美術の先生が教室に入って来ると、雲逸も口を閉じた。

 

先生は教壇の上にノートパソコンとプロジェクターを設置すると、余計な話は抜きに、クラス全員に向かってレポートを始めるようにと言った。


そうして自分は椅子を引いて教壇の下に降りてしまうと、最も落ち着いた傍聴者となった。

 

みんなは自発的に、席順に従ってレポートを披露し始めた。


それと同時にノートパソコンを使ってスクリーン上に写真を投影し、クラス全員にそれを見せた後、撮影時の過程と心得について説明していった。

 

僕はすでに赤点の覚悟ができていたから、他の生徒の作品にひどく気を取られるということもなかった。

 

感覚的には非常にゆっくりと、けれど実際にはかなり素早く、小夢が報告する順番が回って来た。

 

多少のところは、不安で気が気じゃなかった。


僕がパンダの格好をしている写真を黒板前のスクリーンに映し出した時、僕には彼女が何を話すつもりなのか全く分からなかったからだ。


非常にあり得る可能性としては「この李狂龍は、私のパンツを盗んだ変態です」と説明してから、教壇を降りて僕に対してあらゆる責め苦を負わせるというものだった。

 

幸いなことに、小夢はその手の女の子ではなかった。

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5人の姉から三十になるまでセックスを禁止されているんだが 原子アトム @harakoatom88

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