一話一話が短歌形式で書かれており、しかもその内容の一つ一つが物書きの心にさくっと刺さる、何ともユニークな作品です。
物語を書く。短編長編関わりなく、脳内に浮かんだもわっとしたものに形を与え、納得のいく結末まで持っていくことは、とてつもない体力と気力を要します。そして、その出来栄えがいいのか、悪いのか。「いい」とジャッジされる作品がどんどん出来上がるならば苦労はないわけで。物書きは、面白いか面白くないかよくわからない何かを、それでも「書きたい」という欲求に突き動かされて生み出さずにはいられない。そういう生き物ではないかという気がします。
そんな物書きの「あるある」を短い言葉でさくっと描く作者様のユーモアセンスは、どこか切なくフワッと温かく、読むうちに肩の筋肉が解れる心地よさを味わせてくれます。
時にはキーボードを叩くのをやめて、ふふっと笑うのもいい。そんな柔らかい気持ちになれる作品です。
創作の悩み。創作あるある。
カクヨムの「創作論」でもたくさん見かけますね。
でもこの作品は、ただの創作論ではありません。
なんと、プロローグからエピローグまで、全話漏らさず短歌!
しかも、総文字数ジャスト1000文字!
天才か…!!
内容も、創作者なら頷いたりそのまま思考の沼にハマってしまうような、興味を引くテーマばかりです。
読み進めるうちに、「これって私だけじゃないんだ…!」と、書く気がみなぎってくること間違いなし!
書く手が止まってしまったそこのあなた。
お手軽に補給できるエナジードリンク代わりに、ぜひ本作をご一読ください。
たとえ駄作の山を築いたとしても。その中から、いつかとびきりの名作が生まれ出ると信じて…!