第5話 調理と魔法

まずは、取ってきた木の実を磨り潰す。十分な量を磨り潰したら、そこに少しずつ水を足しながら混ぜていく。しばらく混ぜてると、生地状に固まっていくのでそうなったら三十分ほど、石の上で寝かす。


その間に小魚を調理する。このまま焼いても小さく、食べるところが少ないので、身をナイフで切り分けると、それを磨り潰し、粗く砕いた豆と混ぜてそれを枝につける。そして遠火でじっくりと焼き始めた。


寝かした木の実の生地を、鉄板の上で焼くと、ホットケーキが焼けるような匂いが漂ってくる。


本日の夕飯は、小魚と豆の串焼き。木の実粉の鉄板焼き。それと苔のスープ。あまり豪華とは言えないけど、貴重な初の自分で取ってきた食材による食事である。


まずは、小魚と豆の串焼きを食べて見る。焼いたイワシのつみれのような味がして、悪くない。豆の風意味も良い感じにアクセントになっている。次は木の実粉の鉄板焼きを口に運ぶ。口に入れた瞬間、言葉を失う。やばい・・味がしない。とりあえず手元にある調味料をいくつか振りかけて食べる。だいぶマシにはなったけど、それでも少し味気ないな・・・


食べれるかどうかもわからない、苔で作ったスープを恐る恐る口にする。まずは口に含むだけにする。特に問題がなさそうなので、そのままゴクリと飲み込んだ。


「美味い!」

完全に海苔の味である。塩気もあり、苔から出汁が出ているのか、磯風味もしている。ここで少し思いついた。味気ない木の実粉の鉄板焼きを、このスープにつけて食べて見る。おっ・・正解。海苔の旨みと、塩っけが足されて、かなり美味しくなった。今回の一番の収穫はこの苔だな・・今度もっと取ってこよう。


食事も終わり、毛布にくるまりながら、女性の残してくれた本を読んでいた。そこに気になる項目があった。

「魔法の取得・・僕にも魔法が使えるようになるのかな・・」


本にはこう書かれている。勇者様も、魔法を取得する必要が出てくるでしょう。魔法を取得するには、大きく分けて、三つの方法があります。一つはマナの仕組みを理解して、長い時間をかけて学び、取得することです。しかし、これにはそれを教えてくれる師が必要となるでしょう。ごめんなさい。本来ならそれは私の役目だったかもしれません。


魔法の取得の方法、もう一つは、スペルブックの使用です。これは読んだものに、その本に書かれている魔法を強制的に取得させるマジックアイテムです。これは本を開いて使用するだけで、魔法を取得できる便利なものですが、残念ながらそのほとんどのスペルブックを魔王軍に焼かれてしまい、現存するものは少ないでしょう。勇者様に、何冊か用意したかったのですが、残念ながら、私の持っていた本は全て戦いで消失してしまいました。


魔法の取得、最後の方法は・・精霊の力を借りることです。この世界に生き残っている精霊がいれば、その精霊の力が影響する属性の魔法を、取得することが可能です。もちろん精霊に認められる必要がありますが・・あと、魔王軍は、精霊も皆殺しにしています、なので生き残りの精霊がいるかどうかわかりません。


勇者様、スペルブックと精霊を探すのです。そして魔法を取得してください。魔法の使い方などは次の項目で説明いたします。


ここまで読んで、疲れからか、酷い眠気が襲ってきた。どんな魔法があるんだろう・・そんなことを考えながら僕は眠りへと落ちていった。

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人類が滅亡した異世界で、一人で魔王軍と戦う勇者の話。 RYOMA @RyomaRyoma

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