夕暮れ

翠幽月

夏の夕空を見たことがある

飛行機雲が空に描かれていてそのままだった

雲が光に照らされて朱色になって

その朱色がまるでいつか見た

火星の色に似ていた

もしかしたら

私は火星にいるのかもと錯覚した

地球を捨てた

私が世界を置いてきぼりにしたみたいだった

どこにも帰りたくなかった

ひたすらに新天地を求めていたい

ただそれだけだった

いつか私は地球を出る

五年後かもしれないし

もしくは百年後かもしれない

とにかく私は新天地を目指すことに決めた

夕方でも容赦なく照り付ける太陽が

やっぱり火星に似ていると感じた

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夕暮れ 翠幽月 @long-sleep

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