第13話 2017年

あの時、チタさんを葬るのは、知多の海がいいのか、チタさんの生まれた国が臨める海がいいのか、それとも、かつてあった実家の旅館の大浴場のように、綺麗な富士山が見える海がいいのか、少し私は迷った。


どこにチタさんを散骨したかは、私だけの秘密だ。



それでも今もはっきりと迷わず確信することが一つだけある。


チタさんは、私に向かって「待ってるの」と言った時、自分の胸に手を当てていた。


チタさんは、きっと村中の女性の恨みを浴びることを、呪われて死病に憑かれることを自分で望んだんだ。


きっと、誰よりもチタさんを呪っていたのは、チタさん自身だったのだろう。


チタさんは、それくらい、頭のいい人なのだ。



私は、そんなチタさんにそっと、問うてみる。


国際状況がずいぶんとキナ臭い。


今年、海から日本に向かってやってくるものはいったい、何なのだろうーと。

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海とチタさん 真生麻稀哉(シンノウマキヤ) @shinnknow5

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