CHAPTER―7

オスプレイの墜落現場に向かって百メートルも無いくらいの距離をマイクとオースティンが走っていると、日が落ちて周りが夜の暗闇でもオスプレイが黒鉛を上げながら燃えているのがわかった、オースティンは肩を撃たれたマイクにそこに止まるように言ったが痛み止めを打ち簡単な止血をすると大丈夫だといい一緒に墜落現場に向かった。

オースティンは疲れが溜まってきているのか体重く感じ今にも倒れそうだが、墜落地点に生存者がいるかもしれないとなると休むわけにはいかなかった、隣のマイクを見ると服は土まみれで肩を撃たれた時の血で上着が汚れていたり穴が開いていて汚い姿であったが、それはオースティンも同じだった。

マイクは痛み止めを打っていても走ればかなり痛みを伴うだろうと思うとオースティンはマイクのことが心配になるがそのことを頭から追い出しまずは生存者を探さなければならない。

走りながら人影が無いか墜落現場を見たが人影はないようだ。

乗っていた搭乗員たちは全員死んだのではないかという考えが頭をよぎったが言葉にせずただ急いで走ったが、暗くなった草むらを走っていると足元がよく見えないので小さな石に躓いただけで転びそうになった。

体勢を立て直して走り出し墜落現場の近くまで行くとオスプレイは墜落時に周りの木や土を削った跡を周りに残し上下が逆さまになった状態で墜落炎上しており火を消すのは二人では無理であった。

すると隣のマイクが言った。

「生存者がいないか確認しろ!、俺は右に回るからオースティンは左だ!」

「了解!」

頷くとマイクと別れ墜落した機体を生存者がいないか声を掛けながら回ったがミサイルはエンジンに直撃したようで一基なくなり旋回するような形で墜落したのかコックピットがあったところは地面に削られたのかつぶれている上に炎上していて生存者がいるかなんて確認できなかった。

「誰かいたか?」

反対側を回ってきたマイクが尋ねてきた。

「いや、誰もいませんし中もこの状況じゃ確認できません」

オースティンは残念そうに答えながら顔を振った、オスプレイを見たが機内でパンという何かがはじける音が聞こえオースティンが言った。

「中の弾薬に引火したら大変です、離れたほうがいいんじゃないんですか?」

「そうかも知れないな・・・」

マイクは周りを見渡した。

「今度は周りを捜索する、一人で行動するのはまずいから二人で行動するぞ」

「わかりました」

オースティンが周りを見渡すと、周りの暗闇が墜落の炎で照らされて林の中で何かが動くのが見えた。

「あそこで何か動きました!!」

叫んで指差すと発砲音が聞こえ後ろの燃えている機体に当たり金属音が響いた。

反射的にマイクとオースティンは草むらに伏せてオースティンが叫んだ。

「俺たちは仲間だ!、撃つんじゃない!」

「そうだ!、俺たちはアメリカ軍だ!」

マイクも叫ぶと発砲があった茂みの中から作業着のような服を着た男が二人、拳銃とサブマシンガンのようなものを構えながら出てきた。

「お前が調査隊の隊員か?」

拳銃を持っている方の男が言うと隣のサブマシンガンを持った男が続けて言った。

「だから現地の奴等みたいなカッコをしてるのか、現地の人にしては駆けつけるのが早いと思ったんだ、俺が撃たなくてよかったな」

言いながらサブマシンガンを持った男は隣の拳銃を持った男を小突いた。

「それで他の搭乗員はどうなんだ?コックピットはつぶれているようだがパイロットたちは?」

マイクが尋ねると拳銃を持った男が首を振りながら悲しそうに言う。

「パイロットとコパイロットはミサイルがエンジンに当たったときに機体を立て直してうまく着陸しようとしたんだがうまくいかなくて機首から地面に突っ込んでコックピットがつぶれて・・・・、二人ともだめだった」

「そうか・・・・」

オースティンは話を聞いてオスプレイのコックピットのある部分を見たがあそこに乗っていたなら助からないだろう。

マイクが続けて尋ねた。

「それで他に乗っていた者のは大丈夫なのか?」

「あぁ、パイロットとコパイロットの他に三人乗ってて、俺たち二人は何とか墜落したときに無事でうまく脱出できたが、残りの一人が機材に押しつぶされて頭を打ち付けたらしく意識不明なんだ、運び出して安全な所で寝かしてある」

その話を聞くとマイクが二人を安心させるように言った。

「応援はマードック少佐が連絡してくれている、我々は君たちの救援としてここに来た」

すると拳銃を持った男が墜落したオスプレイを見ながら言った。

「墜落した機体は情報や技術を渡さないために爆破しなければならないが、この状態なら盗むものも無いだろ」

オースティンも墜落した機体を見た、拳銃の男が言う通り機体を爆破しなければならないがその必要は無いくらい燃えている。

「それを判断するのは我々ではない、我々は応援が来るまで近くで安全を確保して待機する、もう一人のところに案内してくれないか?」

「もちろん、こっちです」

マイクが言うとサブマシンガンの男が答えると拳銃の男と出てきた草むらに向かって歩き出し、マイクとオースティンは従って歩き出した。

男たちが出てきた草むらを見ていると何かが光り空気を切り裂く音が聞こえると一秒遅れて発砲音が聞こえた。

「敵襲!!」

マイクが叫んだがみなすでに左右にバラバラに走り逃げ出した、立て続けに発砲音が聞こえた。

近くの木の陰に隠れようとしたオースティンの腹部に何か衝撃を受けたと思うと弾が腹部に当たり力が抜けてその場に倒れてしまった、痛みをこらえ周りを見るとマイクもオスプレイの生き残りの二人も全員撃たれたようで草むらに倒れてうめいていた。



「やったわ、四人全員に当たったわ」

アリスが喜んでいたがユノは狙撃した四人がもがいている姿をスコープから目を離して見た。

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