CHAPTER―5
崖の施設の外に出たオースティンとワルテはマイクと合流する前にミサイルの攻撃で地面に伏せて両手で耳を塞いでいた。
ミサイルがほぼ真上を飛んで行き轟音の振動で地面や草木が揺れるのを感じたが、ミサイルが崖に当たると更に激しい音と振動で一瞬呼吸が止まり、崖の岩が飛んできて背筋に恐怖が走り頭が真っ白になって何も考えられなくなった。
十秒くらいジッとしていたがまだ上から小石が降ってきている、さらに足に何かが当たる感覚がして振り返るとマイクがいてオースティンの足を蹴ろうとすると振り返ったことに気が付いた。
「立つんだ、オースティン」
オースティンは地面に手を付いて立ち上がりゴーグルに付いた砂埃を拭い周りを見渡した。
「応援部隊はどこなんです?」
マイクの背後を見たがそこには林が広がっているだけで人の姿は見えなかった、するとマイクがAKアサルトライフルを握っていないほうの手をオースティンの肩に置いた。
「クリスとワルテはどこだ?」
「ワルテならすぐそこにいますよ」
オースティンが言うとワルテが木の陰から立ち上がりマイクたちのところへ走ってきた。
「ですがクリスは・・・・」
オースティンとワルテはマイクが外に出て行ってからのことを簡単にクリスがどのような状況で殺されたのかを説明した。
「そうか・・、そんなことがあったのか・・・」
「あいつを殺すまでは帰れません」
ワルテが言うとオースティンも頷いて言った。
「俺とワルテをもう一度あの中に入れてください!」
「落ち着け、取り合えず応援部隊と合流するのが先だ、応援部隊も中の情報が必要だ」
マイクは崖から離れて林の中に入っていくので二人も後を追って走った、少しの間走っていると突然マイクが立ち止まり周りを見渡した。
「予定だと四人連れて来るんじゃなかったのか?」
聞いたことの無い男の声が突然聞こえオースティンは周りを見たが人の姿は無かった。
するとマイクが言った。
「残念だが隊長は殺された、捕虜も居たんだが一人は死んでもう一人はまだ見つけた施設の中にいる」
言い終わるとマイクの目の前の地面がいきなり盛り上がるとその後ろの地面も大量に盛り上がった。
「そうか、それは残念だ」
マイクの目の前の盛り上がった土から声が聞こえたが本当に残念だとは思っていないような投げやりな言い方でオースティンは引っかかったがマイクが続けた。
「それに施設の中には未確認だが生存者らしきものもいるみたいで、それに気を取られているうちに殺られたらしい」
マイクの話を聞きながら盛り上がった地面は草に見えるようにたくさんの糸のようなものが出ている擬装された布を取ると我々の装備とは違う全身が真っ黒いコンバットアーマーに身を包んだ兵士たちが現れた。
「施設の中に生存者がいるのか?」
マイクの前にいる隊長のような男が聞いてきたのでオースティンが前に出て答えた。
「姿は見てませんが、声が聞こえました」
言うと先頭の隊長らしき男がオースティンを見た。
「君は誰だ?」
「オースティン兵長です」
「私はマードック少佐だ、君たちはどこまであの施設の中に入った?」
「一番下らしき所まで入りました、それと私を連れて行ってください、我々の隊長を殺した奴をこのまま生かしておくわけにはいきません」
いいながらオースティンは更に前に出た。
「俺も連れて行ってください」
背後から声が聞こえるとワルテが前に進み出て来た、マードック少佐は二人を見た。
「お前たちには中を案内してもらうために連れて行くつもりだ、だが仲間の敵討ちの為に我々を危険にさらすようなことがあればすぐにお前たちを撤退させるからな、わかったか」
「「はい」」
「それなら付いて来い」
「マードック少佐、あの施設には戦闘用ロボットのようなものがまだ在るのですが、こちらの装備は大丈夫ですか?」
オースティンが言うとマードック少佐は片手を腰に当て楽な姿勢をとった。
「あぁ、マイク三等軍曹から情報はもらっているので準備をしてきた」
マードック少佐は振り返りって仲間を呼んだ。
「おい、見せてやれ」
すると一人の隊員が背中に背負っている物を地面に置いた、それは無反動砲のように見え、オースティンが聞いた。
「それは?」
「最新式のミサイルランチャーでお前の言ったロボットが出てきたらこいつで倒す、小さいがカメラも付いていて標的を一度ロックすれば打ち出したミサイルが自動追尾で標的に飛んで行く、そしてこれミサイルランチャーを持ったのが我々のチームに三人いる、これだけあれば大丈夫だろ」
オースティンがマードック少佐の後ろの隊員を見ると確かに背中に同じようなものを背負っている隊員がいた。
「わかりました、でも気をつけてください」
「わかっている」
マードック少佐は返事をして後ろの仲間に言った。
「前進する、気を抜くな」
マードック少佐と隊員達は黙って歩き始め、マイクたちはマードック少佐の後ろに続いた。
すぐにマイクたちが出てきた崖が見えたがミサイルが直撃し岩に隠されていた施設の金属の壁がむき出しになっている、直撃をした崖の金属の壁に穴がいているところが見えた。
「あの下が入り口になっていたんですが、今はどうやら閉じているみたいです」
マイクが草むらに隠れて説明しながら指をさすと他の者たちも同じように隠れた、マイクが指をさした場所は表面の岩肌がはがれ扉のような輪郭が見えてマードック少佐が確認するように言った。
「あそこだな、何か動きが見えるか、ピート?」
マードック少佐の隣にいた兵士が双眼鏡を取り出し崖の様子と周りの様子を見た。
「特に変なものはありません」
「そのようだ、レッドチーム偵察を頼む、ブルーチームは援護をしてロボットがいつ出てきても対処できるように構えておけ」
「「了解」」
各チームのリーダーから返事が聞こえると五人のマードック少佐と同じ様な装備の兵士が前に進み出た、周りを警戒しながら崖に近づくのをマイクとオースティンとワルテはマードック少佐の後ろから見ていた。
ワルテが背後を見るとミサイルランチャーを構えていつでも撃てるようにしている兵士が目に入ったがすぐに前を向いた。
目を少し離した隙にレットチームは素早く崖までの半分の距離を進んでいて更に近づいていく。
「少佐!、扉が開きます!」
ピートが叫び扉を見ると半分以上開いているが中は暗く見えない。
「レッドチーム、近くの物陰に隠れるんだ」
「了解」
マードック少佐が言うとレッドチームの返事が聞こえるのと同時に近くの木の裏や草むらに伏せて隠れるのが見えた。
崖の扉が完全に開くと中が少し見えたがロボットの姿は無かった。
「どうやらいないみたいです」
「了解した、気をつけて前進しろ」
レッドチームの連絡にマードック少佐返事をした、レッドチームが隠れていた場所から出て崖の扉に近づいていく。
その様子を見ていたオースティンが隣にいたマイクを肘で突くとオースティンを見て小さい声で聞いてきた。
「どうした?」
「なんだか嫌な予感がしませんか?、俺たちがここに近づいた時はロボットが出てきたのに何で今回は出てこないんですか?」
「外に設置していたセンサーかカメラがミサイル攻撃で使えなくなっているんじゃないか?」
オースティンはレッドチームが向かっている施設の入り口を見て三秒くらい考えてから顔を振った。
「それならいいですけど、あのドアがミサイル攻撃で開いたのかが気になってしまって・・・、ミサイルで攻撃されて非常事態のはずなのに入り口が開くなんて怪しいですよ」
マイクがレッドチームを見るとレッドチームは入り口まで二十メートルくらい近くにいて中を覗いて施設内を確認しようとしているがうまくいっていないようだ。
マイクはマードック少佐に言うべきか迷ったようだ、マードック少佐はレッドチームと通信を続けているので隣のピートのところに移動して声を掛けた。
「すいません」
「ん?誰だ?」
「偵察隊のマイク三等軍曹ですが、ちょっと話しておきたいことがありまして」
ピートと呼ばれていた兵士がマイクを見た。
「今必要か?」
「はい」
マイクが答えるとピートは近くにいた兵士に何か指示をしてからマイクを見た。
「それでどうしたんだ?」
「今あの扉が開いているのは罠かも知れません」
「罠?」
「ピート何をしている!レッドチームが入り口に着くぞ!」
マードック少佐が振り返りピートを怒鳴るとピートは前を向いた、マイクも前を向くとレットチームの一人が施設の中に慎重に足を踏み入れて進んで行く。
次々にレッドチームの隊員が中に入り全員が施設に入った。
マイクたちには聞こえないがマードック少佐とピートの装備だとレッドチームの声が聞こえるようだ。
「何かあるのか?慎重に行動しろ」
マードックの声が聞こえマイクがそちらを見た、オースティンとワルテは扉の方を見ていた。
「あっ!」
ピートの声と同時にマードック少佐が叫んだ。
「退却しろ!今すぐだ、動けるものは走れ!」
発砲音が聞こえマイクが扉を見ると連続した発砲音と銃口の炎で一瞬人影が見えた気がした。
「ピート!」
「ブルーチーム!、ミサイルランチャーを準備してレッドチームが出てきたら撃ち込め!!」
ピートが叫びマイクたちは反射的に銃口を扉に向けた、銃声はすでに鳴り止み静けさを取り戻していた。
沈黙に耐えられなくなったワルテが口を開いた。
「どうなったんだ?」
マイクもオースティンも聞こえていたが答えることができなかった、マイクが扉を見ていると何か動くものが見えた。
自然に息を止めマイクが目を凝らすと空気が裂ける音がした直後に背後で何か音がして振り向くとブルーチームの兵士一人の頭部が無くなり草むらに倒れた。
「敵だ!撃て!」
マードック少佐が叫ぶのとほぼ同時に発砲音が聞こえマイクも扉の中に向けて当たるかわからないが引き金を引いた。
「少佐!あれ!」
ピートが叫び指をさすとマードック少佐は銃弾を撃ちつくし空になったマガジンを新しいのに換えるため木の裏に隠れていた。
マードック少佐がピートに言われ扉を見るとマイクが報告したロボットが銃を撃ちながら出て来た。
ロボットは複数の緑色が混ざった迷彩が施してあり足にはレッドチームの隊員の血だろうか赤くなっているのが見え扉から出ようとしていてマードック少佐が叫んだ。
「ミサイルを撃て!!」
「入り口が塞がれてしまいます!」
ピートがすぐ反論した。
「かまわん!、撃て!!」
マードック少佐がさらに叫ぶとミサイルが二発轟音と共に発射され扉のロボットに向かって一瞬で飛んで行き爆発し白煙を巻き上げた。
「撃つのをやめろ!」
「ストップ!」
ピートが怒鳴ってからも数発の発砲があったがすぐに静かになった。
オースティンは何も言わず黙って見ていると白煙の中からロボットが出てきたがその色は先ほどの迷彩とは違う黒色をしている。
「二体目だ!、もう一発撃て!!」
マードック少佐が叫ぶとミサイルランチャーの発射音が響いたが、それを察知したロボットが素早く動いた。
ロボットは崖を背に移動しミサイルが命中しそうになるとジャンプをして二発とも避けた。
「くそ!、次だ!」
ピートが叫ぶと緑色の迷彩のロボットがもう一体扉から出てくるのが見えたのと同時に銃口が光るのが見え銃弾の着弾で舞い上がった砂を被った。
「ミサイル撃て!!」
ピートが叫びオースティンは耳を両手で塞いだがミサイルが発射されずただロボットに撃たれた。
変に思ったオースティンが振り返って見るとミサイルランチャーを持った兵士の下半身だけが残っていてミサイルランチャーは近くに転がっていて叫んだ。
「ミサイルマンがやられてるぞ!!」
「こっちもやられた!!」
もう一人ミサイルマンもやられたようだ、どうやらミサイルランチャーを持った兵士を狙っているようだ。
「想像以上です!、少佐!このままでは危険です!」
ピートが後ろの身を隠すブルーチームを見ながら叫んだ、マードック少佐もブルーチームの状況を確認して五秒くらい考えて素早く判断して言った。
「我々が乗ってきたオスプレイマーク5に武器は付いていたよな」
「はい、チェーンガンと対地ミサイルが付いてます」
「よし、攻撃を命令しろ、他のものは後退しろ、そしてお前は標的をマークしろ」
マードック少佐はオースティンを指差した、ピートは自分の持っていた銃をオースティンに向けて投げた。
「それを使って打ち出すんだ、そしてこれがマーカーだ」
マーカー用グレネード弾をポケットから取り出しオースティンに投げた。
その瞬間ピートの腕が千切れ飛びその反動で草むらに倒れこんだ。
近くにいた兵士が返り血を全身に浴びて思わず立ち上がろうとするとマードック少佐が蹴り倒した。
「うろたえるな!、お前はロボットをマークしろ!、それとお前!」
今度はマイクを指差した。
「ピートの代わりにオスプレイに攻撃を指示しろ!、指示はヘルメットを被って左腕の時計のような機械のスイッチを押せばいい!、わかったな!」
「はい!!」
返事をしてマイクはピートに近づいたが、右腕が無く右肩の傷口から大量の血が流れ、右脇腹も大きく抉られて内蔵と血があふれて草を濡らしていた。
ピートからヘルメットをはずし顔を見るとブルーの瞳が一点を見て固まり口が開いたままで生きているかも知れないが助かりそうに無かった。
「悪く思うな」
聞こえているかわからないが呟くとピートの体の上を乗り越えて左腕の時計みたいなものを血ですべるが何とか外して戻ろうとピートの腹に手を置いて体重をかけると脇腹から内臓と血があふれた。
血ですべりながら元の場所に戻るとゴーグルとマスクを脱ぎ捨てピートのヘルメットをかぶったがピートの汗で湿り何か臭いもして嫌だが仕方が無い、血まみれの腕時計のようなスイッチを押して叫んだ。
「おい!、聞こえるか!、聞こえたら返事をしてくれ!」
「こちらマンハッタン3、お前は誰だ?」
知らない人からの連絡で戸惑った声が聞こえてくる。
「俺はマイク三等軍曹だ、それよりも今からマークする所を攻撃してくれ、早くしないと全滅してしまう」
息を切らせながら言うとマンハッタン3は事態を飲み込んだのか口調が変わった。
「了解した、すぐそちらに行く、それまで持ちこたえろ」
マイクはスイッチから手を離し、マードック少佐に向かい叫んだ。
「オスプレイが来ます!!」
「わかった!!」
返事をするとマードック少佐は周りを見た。
「さっきの奴はマークしたのか!?」
「まだです!」
オースティンが渡された銃を構えてスコープを覗いていたが銃口を左右に振って落ち着かない。
「早くするんだ!」
「わかってます!」
オースティンが覗くスコープにロボットが映るが一瞬で消えてしまう、ロボットに当てる必要は無いが離れたところにマークすれば意味がない、できれば二体の中間の位置におきたいためにマーカーを撃てずにいた。
「マイク軍曹、聞こえるか?」
マイクは腕の機械のスイッチを押した。
「聞こえている!」
何かが近くで爆発し爆風で体が何回転かして上下がわからなくなった。
目が回ってボーっとすると耳元で何か声が聞こえた、何かが体に当たったようで体中が痛くて仕方が無い。
「・・・・・・、返事をしろ!」
耳鳴りがして最初は聞こえなかったがすぐに収まって聞こえてきた。
「後二分でそちらに行く、聞こえるか、早くマーキングをするんだ!聞こえているのか?おい!」
「あぁ、了解した!」
ヘルメットのレンズには小さい石でできたような擦り傷ができていた、手で拭ってみたが消えなかった、マイクがオースティンを探すとオースティンも爆風で飛ばされたようでうつ伏せで倒れていた。
「大丈夫か!?」
よろけながら近づき体をさすったが反応がない、マイクはオースティンの持っていた武器を取りスコープを覗いて崖を見たが、緑色の迷彩のロボットが警戒しながらこちらに歩いてくるのが見えた。
すかさず銃身の下に着けられたグレネードの引き金を引くとマーカーが発射され緑色の迷彩のロボットの胸部にマーカーが取り付いたのを確認してすぐに隠れて腕の機械のスイッチを押して空を見上げた。
「マーカーをつけた!、攻撃してくれ!、今すぐだ!」
「OK、こちでも確認した、巻き込まれないように頭を低くしていろ」
何かが肩を叩きそちらを向くとオースティンがいた、先ほどは生きているか確かめることができなかったがどうやら無事なようだ。
「俺の変わりにマークしてくれたんですか?」
「あぁ、お前は大丈夫なのか?」
「帰ったら必ず頭の検査をしますよ」
「頭を地面につけるんだ!、今度は首ごと持ってかれるぞ!」
ふとマイクはマードック少佐を見たが先ほどの場所にはいなかった、周りを見渡して探そうとしたが上空でオスプレイの翼の回転する音が聞こえるとすさまじい数の銃弾が空気を切り裂く音が聞こえて顔を伏せた、隙をみて崖の方を見るとマーカーをつけた緑色の迷彩のロボットの周りの土が大量に舞い上がり土煙がたっている。
「これならあのロボットもひとたまりも無いだろ!」
オースティンが叫んだがマイクはもう一体のロボットを探した。
「もう一体はどこにいた!?見えるか!?」
「いや、見えません、隠れたんじゃないですか?」
マイクは周りを探すとマードック少佐の代わりにワルテを見つけるとワルテもこちらに気が気が付き敵に見つかるのを避けるように姿勢を低くしマイクとオースティンの近くに走りこんできた。
ブルーチームやマードック少佐はどうなったのだろうか、マイクは腕の機械のスイッチを押して上空にいるオスプレイのパイロットに言った。
「マンハッタン3、ロボットはマーキングしている奴のほかにもう一体いるんだ、気をつけてくれ」
「了解、上空で待機する、見つけたら連絡をくれ、すぐに攻撃を行う」
「それとマードック少佐たちのチームがどこにいるかわかるか?」
「ちょっと待ってくれ・・・・」
その間もチェーンガンのすさまじい発砲音を鳴らしていて、ヘルメットからでも音の振動が伝わってきた。
「わかったぞ、少佐はすぐ近くにいるぞ」
「了解」
腕の機械のスイッチから手を放そうとした時声が聞こえた。
「崖のあれは何だ?」
マイクが崖を見ると崖の壊れた鉄壁の中からすさまじい音と共に煙の尾を引きながら何かが飛び出した。
「回避だ!!、何かにつかまれ!!」
パイロットが叫ぶ声が聞こえマイクが空を見るとオスプレイに向かって何かが飛んで行き、近くにいたオースティンとワルテも上空を見た。
「どうした!、大丈夫か!?」
パイロットに呼びかけたが返事が無い。
「くそっ!、ダメだ!」
パイロットが呟く声が聞こえた二三秒後に上空で爆発が起こった。
「あの壁の壊れたところを撃て!誰かいるぞ!」
マードック少佐の声が聞こえ銃撃が始まると人影は物陰に隠れた。
その間にオスプレイが火を噴き爆発を起こしながら近くに墜落するのが見えすさまじい音が響き地面が揺れた。
「少佐聞こえますか!?」
「あぁ、聞こえている」
「今からオスプレイの救助に向かいます!」
ここから落ちた所までは五キロも無いだろう、墜落地点でオスプレイが炎上しているのが見える。
「今はだめだ、助けに行く余裕もないし、オスプレイは二機が来ていてもう一機がロボットに撃墜されたら今撃墜されたパイロットたちは確実に助からない」
そこまで聞こえると銃弾が飛んできて近くの木が倒れた。
「くそ!、生きていたか!」
思わず呟いてすぐに地面に伏せたが隣のオースティンが言う。
「いや、今チラッと見ましたがオスプレイの攻撃地点にはロボットが残骸になってましたよ、あれは先ほどいなかった残りの一体みたいです!」
マイクは腕の機械を使いマードック少佐に言った。
「マードック少佐、黒色のロボットが一体残っています、あいつもどうにかしないといけません」
「ブルーチームも半分以上やられているが仕方が無い、こちらでもそいつらに向けてミサイルランチャーを発射するからそちらでも援護してくれ!」
「了解!」
マイクはオースティンとワルテを見た、ワルテはAKアサルトライフルを持っているがオースティンは武器を持っていないようだ。
「ブルーチームの生き残りが奴に攻撃を仕掛けるから援護する、それとオースティンはこれは返すぞ!」
オースティンから借りていた銃を返した。
マイクとオースティンとワルテはアサルトライフルを撃ったが前のロボットと同じように銃弾は当たっているが効いている様子は無い、だがロボットの銃弾がこちらには飛んでこないようでロボットはマードック少佐たちを集中的に攻撃しているようだ。
「全然援護になって無い!!」
焦ってオースティンが叫ぶとワルテも叫んだ。
「まったく効かないんだから相手にされてないみたいです!!」
マイクはロボットの攻撃先を見るとマードック少佐とブルーチームがいる場所からミサイルが発射されたがロボットは寸前で避けミサイルは崖に当たり爆発した。
「こちらもミサイルを撃つしかないですよ!、このままじゃブルーチームは全滅です!!」
ワルテが叫び後ろを見た、最初にブルーチームのミサイルマンがやられた所とは20メートル離れていてその近くにミサイルランチャーが落ちているのをみるとワルテが叫んだ。
「俺が行く!、援護してくれ!!」
ワルテを見ると取りに行くために立ち上がろうとした。
「やめろ!、ワルテ!」
オースティンはワルテの手を掴もうとしたがそれを避けた、どうやら覚悟を決めているようだ、マイクがAKアサルトライフルのマガジンを換えな叫んだ。
「オースティン!、援護するんだ!」
呼びかけるとオースティンも仕方なくAKアサルトライフルのマガジンを換えた。
それを見たワルテが頷き中腰になり移動を始めたのを確認してマイクがオースティンに叫んだ。
「対戦車グレネードは!?前の奴はそれで倒したんだから使えるだろ!!」
「待って下さい!!」
その間にもブルーチームとロボットの銃弾の発砲音がやむことが無い。
マイクは背嚢を下ろして中を探り二つの対戦車用グレネードを取り出した。
「お前はあるか?」
「もらった銃では撃てません!援護します!!」
オースティンが悔しそうに叫んだ。
「ワルテ、聞こえるか?対戦車グレネードを撃つからその時にミサイルランチャーに飛びついて撃て!、わかったな!」
ミサイルランチャーに近づいていくワルテを見ると親指を立てた。
ブルーチームの残りを探したがほとんどがやられているらしく銃声が少ない、マイクは銃を構えグレネードランチャーの引き金に指をかけた。
「オースティン別に当てようとするなよ、援護でいいんだ」
「わかってます」
マイクはワルテを見た、こちらを見ていつでも走り出せる体勢だ。
「よし!、今だ!、走れ!!」
マイクは叫びながら素早く中腰になりスコープを覗きロボットに狙いを定めて引き金を引き、対戦車用グレネードが発射されると着弾を見ずに地面に伏せた、ワルテを見ると立ち上がって走り出しミサイルランチャーに飛びつくのが見え、そのとき対戦車グレネードが爆発する音と共に隣からオースティンのアサルトライフルの発砲音が聞こえた。
マイクも顔を出すと爆煙の中のロボットに銃撃を行うとロボットがこちらを向こうとするのが見えた、するとロボットの近くで爆発が起こり一瞬よろめいた。
「ワルテ!、早くしろ!」
口から出たその瞬間すさまじいガスの噴射音が聞こえるのと同時にミサイルが飛んで行きロボットの居た場所で爆音と共に土が舞い上がった。
マイク、オースティン、ワルテはロボットがどうなったかが気になりただ見つめていた。
舞い上がった土が収まりロボットがいた周辺が見えるとロボットが散らばっているのが見えマードック少佐の声が聞こえた。
「どうやら倒したみたいだな、助かったぞ、マイク三等陸曹だったかな?」
「はい」
マイクがマードック少佐たちの方を見るとマードック少佐とブルーチームの生き残りが崖の入り口に向かっていくのが見えた。
「俺たちは応援部隊を呼んでから中に突入する、お前たちは墜落したオスプレイの状況を確認してくれ」
「了解」
マイクは立ち上がり隣のオースティンを見た。
「墜落したオスプレイの所に行くぞ」
言われたオースティンはため息を付いてから答えた、もう立って歩くのすらつらいのだろう、マイクも同じだ。
「わかりました、だけどその前に銃弾を回収させてください」
「そうだな、俺ももう弾が尽きそうだ」
持って来た弾をほとんど使ってしまった、マイクがワルテにこちらに来るように合図を送った。
ワルテはミサイルランチャーを背負うようにしてこちらに歩いてくるのが見えた、その姿を見たオースティンが言った。
「よくやった、俺たちよりも早く偉くなるかもな」
「そうだな」
マイクもオースティンに合わせて笑いながら言った。
「そんなこと無いですよ」
ワルテはテレながら近づいてきた。
するとワルテは頭から赤白い脳漿を撒き散らしながら仰向けに倒れるのと同時に発砲音が一発聞こえた。
マイクは思わず崖の方を振り返ろうしたが体が後ろに飛び頭と背中を地面に打ち付け意識が遠くなる。
オースティンが近寄ってこようとするので手を上げて制止した。
「マイク・・・・、マイ・・・」
耳がおかしいのか聞こえずらい、肩から何かが溢れ出ている気がして触ってから手を見ると手の平が血で赤黒なり大量の出血を起こしていて自分で肩を押さえたが体の熱がどんどん失われていくような感覚がする。
「あそこだ!、撃て!」
マードック少佐の声と発砲音が立て続けに聞こえた、その瞬間にオースティンが近づいてきて上着を掴み木の裏に引っ張った。
「大丈夫だ!、心配するな!、マイク!」
オースティンが背嚢を降ろし急いで何かを取り出そうとしているが意識が朦朧として瞼が重くなり開く力が無くなった。
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