もう1人の幼馴染の話

第1.5話席替え

このクラスの担任は、どうやら席替えが好きらしく毎月のように席替えのくじ引きがあったんだけど、なんでか俺は毎回同じ席になるという自分でもびっくりな強運を発揮した。

その度にクラスメイトから「ずるい」とか「ほんとにずるしてるんじゃないの？」とか言われた。

もちろんそんなことしてない！だってそんなことしたら母ちゃんに怒られちまう。おっかねーんだ、うちの母ちゃんは。

そりゃまあ窓際の後ろの席なんて誰もが憧れるだろう。理由…は考えたことなかったな。そういえばなんでこの席は特別に感じるんだろう。

でもぶっちゃけ、俺は席の場所はどこでもいいんだ。問題は、嘉と近くの席かってこと！

嘉の家に遊びに（あまりに嘉と檬架がいじるので渋々宿題も終わらせた）行って以来、俺たちの友達度はぐっと上がった気がするんだ。（友達度ってーのは、MAXになったら親友になるんだ。これは俺ルール）

しかーし。なんたることか、俺と嘉は1番最初隣の席だったのを最後に、ことごとく離れた席になってしまっている。

俺の席は変わらないので、嘉が最前列だったり廊下側の一番後ろの席だったり。

悲しいったらないけど、休み時間になるたびに話しかけに行くからあんまり関係ない。

ただちょっと、寂しいだけだ。

そういえばこんなことがあった。

俺がクラスメイトから「ずるだ」って言われた3回目の席替え。

さすがのみんなも本当のずるなんじゃないかと疑い始め、俺が必死に否定しても『聞く耳持たず』って感じだった。

そんなときだ。

「いやいやみんな、堀内がそんな頭いいことできると思う？」

暗いと言われ、

話してもつまらないと、

クラスメイトから言われた嘉が、

俺をかばった。

……かばった！

そのときの俺の嬉しさがわかるか！？

思わず嘉に抱きついてしまったくらいだ。

「嘉ー！やっぱお前大好きだ！！

さすが俺の友達第一号だぜ！」

「ちょっ、なに、苦しいんだけど！」

その日の放課後、俺はいかに嘉がかっこよく、クラスメイトがみんなちゃんと謝ってくれて変な空気にならず、それもこれも全部嘉のおかげ、嘉はヒーロー！と檬架に力説したところ…

その日から3日間、俺は檬架に盛大なシカトをくらったのだった。

解せぬ！