子どもたちは大人とは違った感性を持っていると思います。
その年頃でしか見えないものであったり、その年代だからこそ感じるものであったり。

そんな子どもながらの感性が、本作ではきもだめし中に不思議な体験へと導きます。

それが何だったのかは分かりません。
不思議な体験は不思議なままが良いのです。
解明してしまっては不思議ではなくなってしまいますから。

ジャンルが「ホラー」ではなく、「ミステリー」であり、怖い要素よりも不思議な現象が前面に出ている構成となっています。

語り口調で進む物語は、とても読みやすく読者を不思議な世界へと連れていきます。
あの頃の、子どもの頃の、感性を持って、不思議な体験をぜひ、どうぞ♪

小学校五年生の私が、学校でのお泊りキャンプ会したときのことだった……

落ち着いた分析と子供らしさがある語りは、１２歳前後の知識を感じさせて世界観を増していく。

まだ子供だった頃、キャンプといえば一大イベントでした。ましてやそこに夜の学校での肝試しが加わるのですから心が躍らないはずがありません。
ですがそう言った時にはえてして何やらおかしな出来事もおきるもの。

真夏の夜におこった不思議な話。怖い中にも、どこかワクワクするものがありました。

少年少女たちが夏のイベントで訪れた学校。学校の先生たちが催したきもだめしに参加することになる。先生が設定した順路を外れた先に――というストーリー。
そこで彼らは何を見たのか。

全体的にほんわかした文章で構成された作品。子どもらしさを表現している。

最初から前のめりになりつつ話に入り込みました。まるで自分も小学生に戻った気分になりながら読み進めていく。
楽しかったキャンプの肝試しは異次元への入口だったのかも知れませんね。

もし、あのままトイレの扉が開くのを待っていたらどうなっていたのでしょうね……


怖面白い物語でした。
☆3つです

優しい語りでありながら、夜の小学校という特別な空間を読み手の気持ちをとらえながら表現していきます。

とてもスマートで飽きさせなく最後ませてくれます。

ぜひ、一読を。

遠のいてしまった学校の空気感を思い出しながら、読み進めた物語です。

この物語からは感じるのは、怖さではなく懐かしい空気感でしょうか。

ほっこりした幸せ感と読後感が素敵な短編です。

子供の頃の誰にでもあるようなそんな思い出話の一部として。
きっと、自分達の通う学校にもそんな不思議な話があったのだろうなと思いながら読むと、面白いです。

できれば、忘れたい思い出じゃなく、忘れたくない思い出にしたいものです――このお話みたいに。
「霊＝怖いもの」といった先入観は持たないに越したことはありませんが、実際悪い霊は存在しますから、そういう考えは危険なのかな。
要は、人間にも霊にも悪い奴がいるってことね。