第9話 デート②

『おまたせ!ごめんね!遅れちゃった。』


唖然に取られながら、挨拶をした。


急いで来たから、あの運転なのか・・・

危ないな。


そんな事を考えてると・・・


『乗って!』


彼女がいきなり言い出す。

言われるがまま助手席に乗り込む。


どこへ行くのか?

と聞こうとすると・・・

超スピード!危ない!


急いで来たからあの運転ではない。

あれが、通常運転なのか・・・


そんなに急いで何処へ行くの?

シートベルトを付けながら聞いてみる。


『うん? 道の駅!』


道の駅?

確か、田舎の国道沿いによくあるドライブインじゃないか?

そこに何かあるのか?


アクセル全開で行く場所なのか?

スピード大丈夫?

さりげなく聞いてみる。


『大丈夫! 怖い? うちレーサーやねん!』


レーサー?って、意味が分からん。


『バイクレーサーだよ^^750cc』


話を聞くと、小さい時からバイクのレースに出てるらしい。

バイクレースには興味が無いから知らないが、

その業界では、彼女は有名らしい。


そうこうしている内に、道の駅に到着。


これといって何も無いけど。

産地直売店とフリーマーケットぐらい・・・


彼女は急ぎ足で、フリーマーケットのお店に近づく。


『居た!居た!お久しぶり!元気だった?』


僕の知らない女性に話しかけている。

友達なのか。仲良くお喋りしてる。


楽しそうに会話している彼女を見て心が奪われる。

ちゃんと見たこと無かったが、

可愛いな。

東京に居た時にでも、目を奪われる女性とは、

なかなか遭遇は出来ない。

見ているだけで、心が安らぐような・・・


すると、彼女がこちらを見て手招きしてくる。

彼女の友達も、こちらを見て会釈している・・・


まじかよ・・・


何て紹介されているのか・・・

親?兄?親戚とか?友達から見たら不思議な関係でしかないだろ。


恐る恐る近づいていくと、彼女の声が聞こえてくる。

『・・・ぇかけて、今日は初デートなの!』


声かけてと言ったのか?

初デートって言ってる。

友達らしき女性に、挨拶すると


友達:『彼女と仲良くしてあげてくださいね^^』


普通に紹介したのか。

初めてのデートで、僕は友達には紹介しない。

この先、どうなるかわからない相手を紹介なんかできない。


でも、彼女はお構いなしに僕をひっぱり、


『お土産見に行こう!』


二人で、色々見て回り。

ドライブインを後にする。

車の運転は、相変わらず乱暴な。


軽く食事をして、その日は別れた。

自分の車に乗り込み、家路へ向かう途中。

色々、思い返して考えてみる。


本気なんだろうか?

こんなオヤジのどこが良いのだろう。

彼女の会話を思い出してみる。


『嫌いな人なら、車には乗せないよ。』

『一緒に居て、安心できた!』

『今度はカラオケ行こうね!』

『こんな私を好きになってくれる人は居ないけど、あなたは私を好きになってね!』


彼女が言った、嬉しい言葉を思い出してみる。

素直に、喜ぶ。

この出会いを大切にしよう。


第10話へ



■ 作者より

第9話ご覧いただき有難うございました。

人生色々あるけど、簡単には上手く行かないのが人生ですね。

この日が、一番幸せな日だったかもと思います。

次回をお楽しみに^^













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おっさんでしょ! ナカムシン @nakamushin

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