第8話 デート①

見ず知らずの女性から告白された夜。

自宅に戻る。



やる事も無く、明日の為に寝ようとした時。

携帯電話が鳴っている。


着信履歴を見ると、知らない番号。

折り返しかけてみる。


『もしもし。今日はありがとうございました。私の電話番号です!』


居酒屋で告白してきた娘だ!


『あの・・・明日の夜。お食事にでも行きませんか?』


電話を掛けてきた事にも驚いたが。

いきなり食事の誘いって・・・


やる事も無い中年オヤジには断る理由も無い。



日時を決めて電話を切る。


本当に来るのだろうか?

少し不安もよぎる。

怖い人とか出てくるんじゃないか?とか。


色々考えても、拉致がない。

明日になればわかる。



翌日、約束の場所に。


誰も居ない・・・

やっぱり無駄な時間だったな。


何分待つかを考える。


5分?10分?


そんな事を考えていると、電話が鳴る。


『ごめんなさい!寝てました・・・もう居ないですよね?』


いや。まだ居るけど・・・


『今から行きます!15分待っててください。』


・・・

15分待つか・・・


人を待つ15分は長い。

待たされるのは嫌いだ。

自分の性格上、約束の10分前には現地に着くように行動してきたが。

15分待てと言っても、約束の時間から30分も遅れている。

仕事関係なら、論外。

取引もしないな。


暇な時間を、ボーっと国道を眺める。

沢山の車が走行している。

家路に向かうのかな?道は渋滞までとは行かないけど。

車の台数は多い。

その流れの中、1台だけ無謀な運転で走って来る車がいる。

危ない運転だなと思い見ていると・・・


その車は、僕の横に勢いよく突っ込んできた。


え?


『お待たせ!』


彼女だった。


第9話へ


■ 作者より

第8話ご覧いただき有難うございます。

人を待つと言う事は、意外と大変です。

待っている時間に何を考えるのか。

この時点では、私は何も考えていませんでした。

でも、待つ事がどれだけ大切かを、この先、思い知ることになりました。






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