escaping…

目が覚めると、


そこには見知らぬ真っ白な天井と、

消毒液のにおいがするこれまた真っ白なベッドがあった。



…どうして病院にいるの?



しばらくして、私は思い出した。


図書館へ行こうと席を立ったところから記憶がない。

私、倒れたの…?




大きな病気をしたこともないこの体で、私はどうして倒れてしまったんだろう。

原因に心当たりがないことが、ただただ恐ろしかった。




――しばらくして、医師が入ってきた。

若く、真面目そうな男性だった。



「目が覚めたんだね、ハルカちゃん」

「…はい。あの、私どうしてここに?」

「ハルカちゃんは、教室で突然倒れてしまって

それに気づいた先生が呼んでくれた救急車でここまで運ばれて来たんだよ。」

「それはなんとなく分かるんですけど…」

「どこか痛いところでもあるのかい?」

「いえ…。そうじゃなくて、私、倒れた原因に心当たりが全くないんです。

熱も今朝は微熱だったし…

ただ…立ち上がったら…苦しくなって…目の前が真っ暗になってて…。

はぁ…はぁ…私、どこか悪いんでしょうか…それがっ…怖くて…はぁ、はぁ…」

「ハルカちゃん、過呼吸になりかけてるから、今はゆっくり呼吸に集中して。」

「吸ってー吐いてー……」



――そのまま私は眠ってしまった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一瞬の閃光 m. @nyannyan_2297

現在ギフトを贈ることはできません

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ