閑話 "青の戯画" トラン・イリーガリー
「はじまる終わりが!」
「終わるよはじめが!」
「「レッツ・エンディング!!」」
「さて、ここからが本番。何がどう転ぶか……予定通りに、頼みたいものだね」
暗い部屋。並べられたディスプレイの前で、一人の少女と二体の人形は笑っていた。
「とりあえず、っと」
少女――"青の戯画"のトラン・イリーガリーは筆を取り、キャンバスを構える。
思い描くは夢幻の如き、泡沫と消えるヒトの歩み、その跡々。少し捻って、事実を捻じ曲げ、ただ滑稽な形に変えて。
歴史は歪む。それは勝者によって紡がれるものであるが故。ならばトランは、それを『戯画』として描き、歪ませる。
「トラン君」
「はいはいハカセ、出番なんですね?」
ハカセと呼ばれたその男は、白衣に眼鏡をかけ、呆れたような溜息を吐いた。
「そう、そうさ、私の出番だ。出番というのもおこがましい雑事だが、私の職務だからね、仕方がない。じゃあ、行ってくるよ。留守は頼んだからね」
「了解了解、いってらっしゃ〜い」
上司である彼に、トランは適当に生返事をすると、またディスプレイへと身体を向けた。その画面は、ただ青いのみだった。
転生世界のクズとゴミ 成亜 @dry_891
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。転生世界のクズとゴミの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます