美しい日本語で、詩のようにつづられる物語です。
短編ですが、短い文章の中に、情感がたくさん詰まっています。主人公の考え方が手に取るようで、彼なりの、生きざまを貫こうとする姿は、後ろ向きですが美しいです。
本編では、光と影の対置と、それに自分とヒロインを当てはめる描写が続きます。
それの意図する単純な帰結に行きあたるラストシーンが素敵です。
そういえば、素敵な人を光とあらわす表現は、当たり前だ。
最後のシーンで、主人公の認識の変化とともに、暗い夜明け前に刺す朝焼けのように、読者にそう思わせる技量は、相当なものがあると思いました。
ラストシーンのセリフ回しとか、そこに至るまでお互い二人の関係性を確認しないところとか、ホント大好きです。