第7話 初ヒロイン!!

「はぁ、はぁ、おい!なにやってる広樹早くこっちに来い!!奴に捕まるぞ!」

「俺はもう無理だ。もう走れない。お前らだけでも先に行ってくれ。」


俺らは現在、ある化け物に追われていた。それも俺のチート能力のせいだ。なんでこんなことになっちまったんだ。っくそ、もっと冷静になっとけばこんなことにならずにすんだのに、、、


〜一時間前〜


「ここが、ゴブリンの潜んでる森かー。やっぱわくわくするよな!!冒険の匂いがプンプンするよ!!」


「おいこら、勉。とりあえずまだつっこむなよ?ここはゴブリン以外の敵性生物があまり存在していないためはじまりの森と呼ばれているが、油断していい場所ではないんだぞ」

今にも暴走しそうな俺を翼はなだめる。


「大丈夫だよ!何があっても俺のチート能力があるからな!お前らは安心して「お、おいゴブリンだ!!!初戦闘だぞ!っしゃあおらぁぁあ!」広樹はゴブリンを見つけるやいなやすぐさま斧を構え、走り去って行った。


「うおおぉぉぉぉお!デモンスラッシュ!!」不意をつかれたゴブリンは、そのまま広樹のデモンスラッシュ(笑)をくらい絶命してしまう。


「よっしゃあ!撃破ぁ!チートなんかなくたって俺って最強じゃね?!」

「ほざけ、今のはたまたま不意をつけただけだし、さらにはゴブリンが一匹しかいなかったのもある。今度からは急に飛び出したりすんなよ。ゲームとは違うんだ。」

「あ、あそこにゴブリンがいるよ、勉。」

「そいつはおれのもんだぁぁぁぁ!」翼が指をさした方向に走って行くが、、、


「お、おい翼?ゴ、ゴブリンは??」

「あー、ごめーん。見間違いだったわー」

「勉君?これは一体どういうことかな?さっき俺に散々説教を垂れたのは、初の獲物を奪われたからとかそんなチンケな理由じゃないよね?」


「すまん、広樹。俺だって、俺だって、修学旅行で無駄に買った木刀じゃない、本物の剣を使って見たかったんだよ。ただ、それだけなんだ。」

「まぁ特別に今回だけは許してやんよ。実際言われたことは正しいしな、死んだら終わり。復活なんてできないんだ。慎重に行こう。」

「まぁ、俺は復活できるけどな」

「やっぱ、許さねぇ!今回は戦闘なしだかんな!!大人しく後衛に徹してろ!」


「まぁ、そっちの方が良さそうだね。調子に乗って死にそうだしね。それより俺も試してみたいことがあるんだ。」


翼がそう言うとまたもや、はぐれゴブリンが飛び出してきた。今度は翼が弓をゴブリンに向けて放った!その弓矢は寸分違わずゴブリンの脳天へ、ぶっ刺さる。


「これってもしかして!!?」

「そうだよ、テイムさ。僕の祝福では攻撃手段がないからね、テイムで魔物を使って攻撃するっていう寸法さ。」

「なるほどなぁ、いいなぁ!お前の祝福やれること多い。俺のなんてダメージカットだからなぁ。」二人がそんな話をしていると先ほど弓矢で射られたゴブリンが仲間にして欲しそうな目でこちらを見ていた。


「君はこれからゴブタだ!これからよろしくね。」

「ゴブ!ゴブ!」ゴブタは、嬉しそうに返事をした。


「ゴブリンもこうしてみると可愛もんだな。ちょっくら俺もテイムしてくるわ!」

「やっぱお前の祝福チートだよなぁ。」

俺は『必中』と『天使』を使い新しく見つけたゴブリンに向かって放った。すると、


『幸運が発動しました。ゴブリン♀の好感度がマックスになります。』


「お!なんか幸運が発動してゴブリンの好感度がマックスになったみたいだぞ」

「幸運には、そういう効果もあるんだ。やっぱりかなり有用な祝福だね。」

「お、おい。そんことよりなんか変じゃねぇか?あのゴブリン仲間にしてほしい目っていうより。完全に獲物を見つけた女豹の目してないか??」

「いやいや、気のせいだろ。あのゴブリンがメスで好感度がマックスになった程度で、、、襲われたりしないよな??」

「ゴブゴブ!」

「ん?なになに?メスのゴブリンの性欲はオスの100倍あって、常に繁殖期の状態?」


翼の言葉を聞いて一気にサーっと血の気が引いていく音がした。これ、やばくね?


「うわ!あいつこっちに向かって走り出したぞ!!!!」


「「「に、にげろーーーーーーー」」」


冒頭に戻る。


「お前、そんなことを言って俺を見捨てる気だろ!!」

「今思えば、俺ら逃げる必要ねぇじゃん!!あいつの目的おまえじゃん!!」

「あ、確かにそうじゃん。よく気づいたね広樹。ってことで、頑張れ!勉!」

「お前ら、嘘だろおい!!ここまできて見捨てないでくれよ!あいつにもし捕まったとしたら、絶対犯されるよ!俺の童貞あんなのにあげたくねぇよ!頼むって助けてくれよー」

「はぁ、仕方ない。ゴブタ奴を押さえつけてくれ。」

「ゴブゴブ!」


ゴブタは、ゴブリン♀に立ちはだかった!

しかし、軽々と吹き飛ばされた!!


「は?!あんのくそゴブリンくっそ強いじゃねぇか!」


『鑑定!!!』



名前 エリザベス

種族 ゴブリン

職業 ヒロイン

レベル 5


HP 220/220


MP 1000/1000


攻撃 50 (500)

防御 80 (800)

素早さ 120 (1200)

器用さ 200 (2000)

魔法 1000 (10000)


祝福

恋する乙女

スキル

性技LV10 繁殖LV10


恋する乙女 狙った獲物(意中の男性)を狙う時ステータスが10倍される。


ツッコミどころ満載だけどさ。とりあえずこれだけは言わせてくれ。


「こいつも大概チートだなおい!」


まじでこれどーなってんだよ!なんだよ、ステータス10倍って馬鹿じゃねぇの、ほんと馬鹿じゃねぇの!そして、職業。これだけは、見たくなかった。いや、信じたくなかった。違うよな、決して今作のヒロインじゃないよな?あれだろ。ゴブリン界のヒロインってことだろ?そーだ、それにもしかしたら俺の鑑定が故障したのかもしれない。


「勉やったじゃねぇか。お前の正妻見つかったじゃん。やったね!」

やっぱり俺の鑑定じゃないんだね。まぁでも、ヒロキゼッタイコロス。

「こうなっちゃったのは、全部勉のせいなんだから、ちゃんと責任とんなよー。」

責任?!責任てなに、俺そんなの知らないし知りたくもないわ!


くっそー、まじでこれどうしたらいい。今俺が一番心配してるのは、貞操のピンチ。これさえ守れれば、後で逃げるなりなんなりすればいい。しかし、どうすればって、あぁーもうそこまできてやがる。どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ。


「お友達から始めましょう!!!!!!」


土下座をしながら、全力で言った。


ゴブリンは顔を赤くしながら、「ゴブ」とだけ言って森の方へ走り去って言った。


「はぁぁぁぁぁぁぁあ。なんとか助かったぁ。」安心したのか一気に疲れがやってきてその場に座り込んでしまった。


しかし、この言葉があんな事態を引き起こすだなんてこの時の俺は予想だにしていなかった。


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男子高校生達の異世界日常 (旧 平凡男子高校生の異世界転移 田中太郎 @Red810

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