第2話 おお勇者よ。女神と会えたのか

「うっ……ここは? 俺は死んだはず……?」

 眠りから覚めるようにアインが目を開けると、そこは上下左右一面星空の中だった。

 自分の首をぺたぺたと触ってみても確かに繋がっている。手足も口も動くようだ。


「目が覚めましたか?」

 ふいに背後から響く声に驚いて振り返ると、そこにはまだ少女といっていいような幼げな女の子がこちらを見ているではないか。


「……君は? ここはどこなんだい?」

「私はレミル。この世界を見守る女神です。ここは……天界と言えば解りやすいでしょうか?」

 そう言いながら軽く微笑む少女はなるほど確かに人間離れした美しさを放っている。


「女神……様? 確かに大きくなれば美人になりそうだ」

「な! 私はこれでも大人ですよ! みんなして子供扱いするんだから! そりゃあ背も胸も小さいけど!」

 ポロッと口から出てしまった言葉に反応したのか、さっきまでの神秘的な装いがどこ吹く風、年相応(に見える)な反応が返ってくる。


「ご、ごめんなさい! そんなつもりじゃないんです!」

「主神様も先輩もみんな子ども扱いするし……初めての降臨だからしっかりやりたかったのに! それもこれも先輩が自分の仕事を放棄して下界に行っちゃったせいだよ!……えーと……どこまで話したんだっけ……あぁそうそう」

 小声だが素が出ている。しかもアインにはバッチリ聞こえている


「コホン! 勇者アイン。あなたの生き方は勇者の名に恥じずとても尊い行いでした。まだ死ぬ定めではなかったあなたには今までの功績を評価し、いくつかの選択肢を与えます。」

「選択肢?」

 変わり様にツッコミをいれなかったのは、背伸びしている子供を微笑ましく思うようなアインなりの優しさである。


「はい。あなたには3つの選択肢が用意されています。」

 3本の指を立てながら微笑む少女にアインは沢山の疑問を胸に抱きつつ話を促した。

 

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魔王を倒して転生したら日本とかいう国だった キタノコウ @kitanokou

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