第3話

その後も呆れられながらひかりさんに色々と聞いてひたすらにメモを取った。

始業時間になり、全員で待機場所に座る。今日の出勤メンバーは1つ年下のヒカリさん、5つ年上で2児の母であるルリさん、7つ年上でグラマラスな身体が自慢のユキさん、10歳年上で明るい声が印象的なミナさん、そして私だ。まだお客さんがいなかったので先程書いたメモを必死に読むことにした。

目ではメモを追いながらも、心の中は『このまま走って店を出てしまいたい、いやしかしそれでは今までの私と同じではないか。』と2つの思いに葛藤し、覚えるどころではなかった。


豊満な胸を揺らしながらユキさんが私に話しかける。


「ねぇ、えりちゃんってなんでお水始めようと思ったのー?」


「は、はい。似合ってないのはわかっているのですが、人見知りを克服したくて…。」


「そうなんだ、慣れるといいね。」


ユキさんの妖艶な微笑みを見ただけで"案外頑張れるかもしれない"と思えた。私は、というか人間は案外単純なものかもしれない。


私も笑顔だけは絶やさず今日を乗り切ろうと決めた。

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