第7話 素直な罪
キーンコーンカーンコーン
結局放課後になるまで恵どころか、女の子から声をかけられることは無かった。
昨日のは何だったのか。
むしろ朝から天霧さんを呼び捨てにしたのを周りに聞かれてたらしく、すごい殺気のようなものを感じる1日だった。
いや、そもそも今日の感じが普通なんだ。
昨日のは夢か?それにしてはすごくリアルだったし、出来事も鮮明に覚えてる。
「…帰って美香に聞いてみるか」
〜~〜~〜~〜~〜~〜~〜~〜~
「なぁ、美香。昨日俺と朝一緒に登校したよな?」
「…誰が誰と?もしかしてあんたと私?ついに頭がいかれたの?おかーさーん!!海斗がいつも以上におかしいよー!!」
……あ、やっぱり夢だったんだ。
自室に戻り、昨日の夢の事を考えていた。
「いい夢だったな。あんな夢なら毎日でも見たいよ。むしろ夢と現実が入れ替わってほしい」
なんてアホなことを考えながらもそれが本心だった。
思えば今まで友達作りにしても、恋愛に関しても空回りしてばかりだった。
海斗は、良くも悪くもアホで素直な男だった。
小学生の時、彼は今では考えられないくらい友達が多かった。
友達がとにかく沢山欲しくて、周りの人に片っ端から声をかけたことと、無駄に元気でうるさい性格もあって、クラスの人気者、クラスのムードメーカー的存在だった。
小学生まではそれで良かった。
中学に入り、彼はまた同じように振る舞えば、また友達が沢山作れて、人気者になれると思っていた。
いや、彼自身はそこまで考えてはいなかったが、
そんな彼を見てよく思わない人も中学になると出てくるようになった。
これは仕方の無いことで、合わない人だって世の中には絶対にいるのが現実だった。
しかし、中学生の彼はその事をまだ分かっていなかった。
お構い無しに自分をよく思ってない人にも声をかけ、友達になろうと必死になった結果。
全てが空回りで終わった。
そのまま空回りで終わって、何もなければよかったけれど、
それを見た周りの子達も、「空気が読めないやつ」と彼を見るようになり、
しだいに、彼の周りにいた人達も消えていった。
夢でだけでもモテたい!(休載中) もなを @monawo624
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