遥かなる旅路

作者 村岡真介

21

7人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

作中に登場する「宇宙食」のメニューです。この五種類しかありません。カレーはカツカレーも登場します。餃子は水餃子。

作者さんの作品は、こういった小ネタ的なものに独特のセンスが発揮されており、楽しくてつい、読み込んでしまいます。

小ネタが生きてくるのは本筋がいいからで、そのストーリーテラーぶりは想像のはるか上を行きます。また、どのキャラも人間臭くて魅力的です。

突飛な展開をするようでいて、あざとくはないのです。ここが最大の魅力かも知れません。真摯に書いていたらこうなった、という感じで、とても好感が持てます。

このレビューからは内容がよくわからないと思いますが、読んで損はありませんので、気になった方は是非!

創作の楽しさと、作者さんの人間観が伝わってくる、隠れた名作です。

★★★ Excellent!!!

人口爆発による食糧不足によって国際関係に緊張が高まりつつあるディストピア感のある未来の東京。そこへ唐突に落とされる核爆弾。システムエンジニアの主人公はヒロインと共に巨大な宇宙船の中へと逃げ込みます。そして始まる新天地への旅。果たして彼らは無事に安住の地へと辿りつくことができるのか。

宇宙船の構造やシステムについてはかなり詳細に作り上げられており、宇宙船での生活をリアルに感じられます。また、プログラミングに関する知識は本格的で、システムエンジニアとしての主人公の活躍には説得力があります。

世界滅亡の物語ですが、前半は宇宙船での平和な日常のシーンが多く暗さは控えめなので、SF好きでなくても充分に楽しめます。また、科学的な設定だけでなく宗教や政治などについても深く考察されており、物語としての奥行を感じられます。

そして物語が後半に差し掛かると目的の惑星が近付いてきます。しかしそこでも問題が起き、主人公たちは戦いの渦へと巻き込まれていきます。核戦争を逃れて宇宙へ飛び出したのに、そこでまた起きる戦い。人間の業を感じる展開です。戦いの末に彼らはどんな結末を迎えるのか、必見です。

★★★ Excellent!!!

まるで、いきなりラストシーンかと思ってしまうような展開から広がっていくSF作品。
宇宙船内での日常。絆を深めていく仲間達との穏やかな生活の中に、どうしても見え隠れしてしまう故郷へ向ける悲しみ、行く先の不安の表現が絶妙です。
やがて不安は現実になり、人類は決して避けて通る事の出来ない重大な選択を強いられてしまう。
人類が繰り返してきた歴史、そして運命の中で掴んだ「絆」を背負った主人公は、存亡を賭けた戦いに身を投じる。

新天地へ向かいながら繰り広げられる巨大宇宙船内での生活、出会い、出来事などの中に散りばめられた多くの複線、そして「ペーパーパソコン」や「スカイ・ビーグル」と言った未来世界を彩る様々なアイテムの登場と共に、見た事の無い世界へと読者を誘ってくれます。
ラストも「人類の行く末」を描いた、テーマ性の強い納得のいく結末でした。

ここからは完全に個人的な感想になるのですが、読んでいて文章全体から「丁寧」「読みやすい」と言った言葉だけで終わらせたくないような「やわらかさ」を感じました。
例えば、私は完全シラフで読みましたが、仮に泥酔状態だったとしてもしっかり読めてしまう様な気がします。
読み進めているうちに展開が把握出来なくなりそうになった時に、意識をそっと修正してくれるような、ボウリングのノーガーターレーン(ガーターを防止する柵)のような「優しさ」が文体から溢れ出ている感じがしました。
SFというジャンルで、これが実現出来る作者様の他の作品も読んでみたくなりました。
登場人物達のキャラクター構成も好きですね!
特に達彦くん大好きです。