少年の記憶-2
リネットの元へと行くには少し早いものの、レティシアはクロードの部屋を後にした。誰もいない王城の廊下にコツコツと足音が響く。こんなに静かな王城を歩くのは初めてだな、と思いながら歩く。角を曲がろうとしたそのとき、ドスッと顔が何かにぶつかった。
「あっ……、申し訳ありません!」
ぶつかった相手に謝罪し、相手の顔を確認する。
「いや、別にいい」
ぶつかった相手は、昨日の魔法師の青年だった。昨日は淡い青髪しかわからなかったが、瞳の色は美しい金色をしている。
「なんだ?」
そう一言言われて、レティシアは自分がまじまじと青年の目を見てしまっていたことに気づいた。
「も、申し訳ありません」
再び謝り、もう一度青年を見る。
「お前、名前は……?」
「レイナ・ツィーペルグと申します。魔法師様のお名前も、よろしければ教えて頂けませんか?」
仮名ではあるものの、今この場では自分の本名である名前を名乗った。
「ルチアーノ、そう呼ばれている」
「ルチアーノ様、ですね。お教えいただきありがとうございます。それでは失礼いたします」
ルチアーノの横を通り、レティシアは再びリネットの元へと歩き出した。
「レティシア様……」
どこか苦しそうに、ルチアーノはそう呟いた。
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あとがき
続きを書くのはしばらく先になってしまうかと思いますので、一旦ここでお休みという形をとらせていただきます。
ここまで読んでくださった皆様に心からの御礼を申し上げ、物語は一度閉幕です。
読んでくださり、本当にありがとうございました。
9月某日 夕星 エリオ
月明かりの最中 夕星 エリオ @Erio_moca
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