第5話エリュシオンでの新たな1日"後編"
マーシュさんと合流した私は、マーシュの後を追いながらホテルの裏側にある畑に行った。
広さは…とても広い。地平線が見えそうだぞ?これを1人でやってるのか?辛くないのか!?
「そうでもないですよ?案外楽チンです。カムイさんが『どれだけ働いても疲れない様に神力を使っている』と言ってました」
意外とスゴい事してるな、カムイさんは。
見た目スンゴイ変人なのに(この時、カムイはくしゃみをしていた)。
「さて、それでは収穫作業を行うんですが…えと、まず最初に、このジャガイモっていう野菜を引っこ抜きます。やり方は…」
と、マーシュさんから収穫のイロハを教わり、実際にやってみてはしてみたが…これ結構疲れるな…神力使ってるのかな?
「あ、いい忘れていましたが最初は疲れますが、徐々に神力が体に馴染んでいくので、今は疲れを感じると思いますが慣れたらすぐ楽になりますよ」
いきなり効果が現れる訳じゃあないのか。メモっておこう。
「でもレイさん、結構お上手ですよ。かなり」
「本当ですか?」
「はい、とっても」
やはり、誰かに何かを褒められるというのは、気分が良いな。
「オーイ」
「手伝いに来たネー!」
お、ここでドクトルさんとデリーさんがやって来た。
「ドクトルさん、デリーさん!レイさん収穫がとっても上手ですよ!」
「へー!やっぱりレイちゃん若いから知識とか色々直ぐに吸収するタイプなのかなー?」
「アレ?今レイちゃん何歳アルカ?」
「16歳です」
「意外と若いですね、私はまだ50年も生きてない若者ですよ」
「私たち人間からしたら50年って相当生きてるんだよねー」
「そこが人間と亜人とか獣人、魔族との違いネ」
と、そんな他愛もない話で盛り上がった。もちろん、収穫もしながら(でも喋ってる時の方が多い)。
今回収穫したのは『ジャガイモ』、『キャベツ』、『ニンジン』、『ピーマン』、『ナス』といった、私がいた世界では見かけない野菜が多かった。そして、収穫していく中で、疑問が浮かんだ。
「肉や魚ってどこから取ってきてるんですか?」
そう、ここでは野菜や果物を見かけるが、肉や魚を見てないのだ。肉だったら、近くに家畜とか育てていると思えるけれど、家畜を育てているわけでもないのだ。牛もいないし豚、なんなら鶏だっていないのだ。だから聞いてみた。
そしたらデリーさんが
「お肉はコガネが本島…『永遠なる
と説明してくれた。理由はわかった。だがまた新たな疑問がでた。
「あの、なんでソウマさんとサクラさんの事、"創狂破の夫婦"って言うんですか?」
実は前から気になっていたのだ。初めて二人に出会った時に、デリーさんが"創狂破の夫婦"と言っていたし、1週間の間にでもそう言う人が多かった。
なので、言おうと思ってはいたがタイミングが見つからないまま今日まで来たのだ。だから丁度いいかなと思い、質問してみた。
「アーそれはねー」
と、ドクトルが説明してきた。
「ソウマは"創造"と"狂気"っていうスキル、サクラは"破壊"っていうスキルを持ってるからー、くっつけて"創狂破の夫婦"って呼んでんの。二人は面白がってるから突っ込んでは来ないよ、むしろ満更じゃなさそうだし」
「そうですか…それが理由で」
「そうそう、見てるこっちとしては熱いことこの上ないネ」
「いいじゃないですか、わたしも恋愛してみたいです…」
「じゃあまず噛むのをどうにかしなきゃだね」
「もう噛みましぇんよ!」
「噛んでるネ」「噛みましたね」
「う~‼もー!起こりますよー!?」
「それは勘弁ネ!」
と、ワイワイとした時間を過ごせた。とても楽しかった。
「っともう結構時間たってるな、そろそろ私は戻るね」
「ア、ハイお疲れさまでした」
「お疲れ様です」「お疲れネー」
「お疲れー、あとレイちゃんも来て手伝って」
「へ!?ア、ハイ!」
呼ばれたのでドクトルと一緒にホテルに戻ることにした。
「マーシュさん、デリーさんお疲れ様でした!」
「お疲れ様です!」「お疲れネ!」
デリーさんとマーシュさんと別れて、ホテルに戻り、ドクトルの仕事場、『保健室』にいった。
「ここでは何をすれば…?」
「んーとね、実験の手伝いをしてほしいの」
「実験?」
「そう。今から私は実験をするから、近くに確かペンと紙があったはずだから、それに実験過程…コレを入れたらこうなったとかっていうのを書いて欲しいの」
「わかりました!」
というわけで、ペンは見つかったのだが、紙が中々見つからない…。なんか薬品とか色々あるなー……。
どこだ?えーと…あ、あったあった!
「やっと見つけ…ん?」
なんか本っぽいなコレ?中どうなっているん………!!
「レイちゃん、紙見つか…」
しばらくの間、時が止まった。原因?それは…。
「…ドクトルさん」
「…ハーイ?」
「なん、なんなんですか!?この本は!なんでこの本には男と男がせ、接吻をしているんですか!?」
そう、ドクトルが所持していたと思われる本なのだが、それには男同士で抱き合っていたり、せ…接吻等をしているのだ!
「ア、アハハ…いやー私ほどの天☆才になるとねー、そーいう愛の形が好きにするんだよねー」
「だとしても!この本は過激にもほどがありますよ!なぜ男同士で〇〇〇しているんですか!」
「うん、ちょっと落ち着いて!?言っちゃいけないからね!?その言葉!あとお客さんの迷惑にもなっちゃうから!」
しばらくの間、私は混乱しながらドクトルさんになんか言ってたらしく(記憶にない)、ドクトルは私を必死に落ち着かせてたそうで、たまたま近くを通ったカムイさん曰く、
「外までスンゴイ響いてた」との事。申し訳ない…。
けど!ドクトルのあの本は!受け入れがたい!次回から何か対策を考えなければ!
…というか、こんな日常を今後私はやっていかなければならないのか…不安だ。
レイとドクトルが保健室で騒いでいたときの事。
こんにちはー!ホテル"エリュシオン"の看板娘ならぬ看板天狗のジンでーす!
ついさっきびっくり事件が起きたんだよー!?
実はさっき新しくお客さんが3人来たんだよー!男2人に女1人!
女の人はサクラちゃんみたいに頬に鱗があるから爬虫類系の亜人だと推測できる!
そして腰には2本の刀!それも普通の刀じゃなく魔力を纏わせて力に変える魔鋼刀!珍しい!
そして白い炎が彩られた着物(下は灰色の袴だよ♪)に白髪、目も白の人だったー!
男2人に関してはー、まず1人は一瞬女に見えるほど可愛らしいくてー!身軽そうで黒い装束を身に付けてるから忍者か暗殺者かなー?茶髪で金の目!
もう1人はー…かなり魔力を持ってるね、下手したらコガネと同等、いやそれ以上の力の持ち主か?厄介だな…。
っていけないいけない!昔の荒んでた頃の自分が出てしまってたよ‼
でもそれくらい強いっていうのはわかる。
白いローブをかぶり、虫をも殺さないような笑顔でいる。正直いって、不気味。目は黒い。髪の毛の色はフードでよくわっかんないなー?
けど!ここにきた以上は、ココでゆったりさせてもらうよ‼お給料のためにも!
「いらっしゃいませー!ようこそ、ホテル"エリュシオン"へ!」
と僕は声をあげる。3人は一瞬驚いたが敵意はないと思ったのか、ゆっくりと近づいてくる。
「ようこそ、僕は番頭のジンと申します!こちらの用紙にですねー、名前と元いた世界の名前、使う武器等々を書いてください!」
僕は笑顔でそういって、紙をわたした。3人は紙を見てスッゴク驚いていたけれど、すぐに名前を書いた。そして僕に提出してきた。
「ハーイ、確かに預かりましたー!えーと………へ?」
僕としたことが思わず変な声が出てしまった。何故って?
「元いた世界……"アスクラレール"?」
おいでませ、ホテル "エリュシオン" へ 妖神 風怪 @topdyes
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