RPG由来のWeb小説は数あれど、ここまでゲームに振った作品も珍しい。
ゲーム臭さを消すのではなく、あえてゲームにしてしまっている逆転の発想がそこにはあるのだ。
舞台は超高齢化社会が現実となったポストアポカリプス。
しかも高齢者は弱者などではなく、支配的な身分にある。
延命処置やパワードスーツなどで武装した老人たちとの理不尽な戦い。
主人公は対武装老人用の地雷制作会社に務めていた。
もうこの設定からしてカオスだったりするのだが、本作はそんなことで驚いていては心がもたない(ぁ
ちなみに本作はあくまでのSF作品ではなく、異世界転移ものである。
なのでスタートはもちろん「例の方法」で異世界へと転移してくるのだが――。
書き手の「書きたい」がこれでもかと詰まった作品。
普通の異世界転移ファンタジーに飽きたひとは、一度のぞいてみては?
死んだ→転生できる→能力付与→異世界転生→イヤッホー!
大抵の異世界系ってこんな感じですよね。でも、この作品はひと味違います。主人公が選んだ先は自分がいた元の世界。そこでやり残した事を果たすため。でも、今のまま転生しては力が足りない。その足りない力を得るため異世界へ――。そんなお話です。
一番の魅力は、やはり作者の持ち味である細かい描写と設定ではないでしょうか。一人一人、また一世界をこれでもかと細部に渡って書き込まれていますので、そんじょそこらの作品より鮮明に浮かび上がります。そして、散りばめられるボケとツッコミ。思わぬ所で出てくるので色んな意味で油断できません。
似たような設定ですでに固定化されている異世界もの。それに飽きた方にはオススメの作品です。
近未来を舞台にした地雷工場の社員、という主人公像がまず面白いです。
交通事故で転生するお約束からして状況に捻りが加えられ、他と違うオリジナリティが冴え渡ります。
何より女神様たちが可愛くて愉快!
死んだ主人公の転生先をどうするかアレコレ相談してくれるのですが、どこか頭のネジが外れているため、なかなか決まらない(笑)。
しかも女神の片割れは、主人公を轢き殺した加害者(ババア)が女神に転生した姿……。
加害者のくせに可愛い美少女へ若返ったものだから、恨むに恨めない複雑な感情も芽生え出して……!?
主人公は決して最強ではありませんが、工場員ならではの火薬知識と創意工夫、何より女神様たちと協力して危機を切り抜ける爽快感が素晴らしいです。
強敵のはずの「神殺しの英雄」を、弱い主人公が搦め手で爆殺するシーンはカタルシス抜群です!
そして、せっかく転生してみた異世界は、愛玩人形がはびこる戦場の最中で、萌えと燃えが入り乱れるカオスな状況に。
……視点移動が多いせいで各話の把握が少々難点ではありますが、女神様たちの会話がひたすら面白いのでオススメします。コメディのお手本かよってくらい笑いました。さり気なくパロディ満載だし。とにかく萌えます、そして燃えます(火薬が)。