上京
@minato_hotaru
第1話
セーラー服が半袖だった頃
東京の香りはひとつだった
道行く誰もがその香りを纏い
ラッシュアワーの中に身を置くと
匂いの持ち主が解らない程
東京は爽やかな風を放つ
セーラー服が長袖になると
私の意識は東京へ向かう
間もなく始まる受験を前に
生まれて初めて香水を買った
見知らぬ土地へと踏み出す時に
私の背中をそっと押すような
シトラスの風に勇気を貰う
セーラー服を脱ぐ春を迎えて
素敵な出会いがありますようにと
匂いの記憶を辿りながら今
東京駅の改札をくぐる
上京 @minato_hotaru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます