おまけ 或るチート主人公
俺は人とは違う能力を持っている。所謂チート能力だ。
元はと言えば道路にあるビニール袋を猫と間違えて助けようとしたところをトラックに轢かれてしまい、目が覚めたら目の前に神様が居た。その神様から哀れまれて異世界に転生させられ、ついでにチート能力を貰った。
転生した世界はモンスター蔓延るハードモードだったが貰った能力を持ってかかればなんて事無い。適当にモンスターを倒して名声を得て、金を貰って、女の子にチヤホヤされてハーレム作って。
そんな人生をエンジョイしていたある日の事だった。
朝起きてみると足を縛られ宙に吊られている。いつから俺の寝相の悪さはここまできたのだろうか。紐を引きちぎって降りると下にサボテンが置いてあったようで、尻にトゲが突き刺さったあまりの痛さに悶絶した。
誰の仕業なんだろうと思いながらリビングに行くと仲間の女の子が次々におはよう、と挨拶をしてくれる。いつ見ても可愛いなぁ…全員の顔を見て癒されていると一人、僧侶役の女の子の顔が俺のオカンになっていた。なにがあったんだよ。
用意された朝食を食べようとしたが全部食品サンプルだったため諦めて今日の分のクエストに行く事にした。
今回は洞窟に行くから俺ともう一人で行きたい、と仲間達に伝えたが口々に私が行くと言い争いを始めたのでくじ引きで決める事にした。
結果は俺とオカン顔の僧侶で行く事になった。わかってたけどね。
いざ洞窟に潜ると回復スキルを全く使わず出てくるモンスター全てオカン僧侶がワンパンで倒していった。強すぎんだろ、何があったんだよ。
あまりに強すぎて数分で終わってギルドに終了報告しに行くとその異例の強さにオカン僧侶の噂は国中広がった。
家に帰るといつも出迎えてくれる女の子はオカン僧侶にベタベタくっつき俺を見向きもしなかった。まさか女の子をオカンの顔した僧侶に取られる日が来ようとは。
今日は嫌がらせが多いしオカン顔の僧侶居るし変だ。気分転換に外に出ると変なヨボヨボのお爺さんと青年が家の前に立っていた。お爺さんは俺に「あの世に帰るか能力を返すか」を迫ってきた。
いきなりの事で意味が分からないので無視して歩くと、後頭部を鈍器で殴られたような痛みが襲い倒れ込んでしまった。
目が覚めるとベッドの上にいた。どうやらあの世に行ってはいないようだ。今まで長い夢を見ていたのかも知れない、不思議な事もあるものだな。とリビングに行くとオカン顔の僧侶と今度は魔法使いの女の子が俺のばあちゃんの顔になっていた。
魔法使いと一緒にダンジョンに行ったが物理攻撃だけで全て倒すようになっていた。そして何故か俺のチート能力が消えたみたいでスライム1匹殺すのに手こずった。
次の日、不安な気持ちでリビングに行くとこれ以上は誰の顔も変わっていない。安堵していたが、飼っていた猫が俺のじいちゃんの顔になっていた。ついでに滅茶苦茶に強かった。
俺はその日から勇者諦めて農業で生きていく事にした。
神と異世界シバいてくる 戦士A @Senshi_A
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