解
「私が呼び出されたって事は事件が解決するってことかしら?」
夕方陽が沈む少し前に僕は横溝を田圃道に呼び出した。
「解決するかは分からないけど、まぁ僕なりの解答は持ってきたよ。解けるかは君次第だな。」
彼女の目は、僕の背後から歩いてくる女子生徒を捉えていた。
気が付くと足元は既に水に浸っている。まだ夕方ではない。しかし彼女が来た事で水は湧いた。
「これが僕の解答だ。」
「…どうして、彼女がこの現象と関係してるのよ…。」
「もう分かってるだろ?このあたり一面の水で段差や溝が埋まりここら一帯は真っ平らに見える、君は
彼女との溝を埋めたかったんだろう?」
さて、今回の解答だが、簡単に言えば唯一無二の親友である女の子が遠くに引っ越してしまう事から喧嘩をしてしまった事が原因だった。他人からしたらそんなことで。と思うかもしれないが、横溝からしたら唯一の心の支えというが無くなってしまうという事は重みという重みに押し潰される事だ。だからこそ必死になって彼女を留めようとした、でも上手くいかなかった。それどころか喧嘩をして仲直りをせずただ時間だけが過ぎていく。彼女との溝は深まるばかり。
この溝を早く埋めなければ私は本当に壊れてしまう、そんな強い思いが水を発生させてしまったわけだ。
「それで、その女の子と横溝チャンは仲直り出来たのですか?」
「まぁそこはきっかけさえあれば良かったみたいだな、もう怪奇現象は起こってないようだし、上手くいったみたいだ。
小学生の頃からずっとあの道を二人で登下校してたんだってさ。喧嘩した場所もあの道だ。だからこそあそこで現象が起こったんだろうけど。
しかし今回の件に僕は必要だったのかが疑問だな。横溝は喧嘩が原因って分かってたのに何故他人を頼ったのか。」
「女の子ってそういう生き物ですよ。分かっていながらも、頑固で、意地っ張りで、繊細で、臆病だ。誰かの助けを借りなければ友達と仲直りも出来ないくらいね。もちろん例外もいますが。
それに、ここまで溝が浮き彫りになってしまったのは横溝ちゃんの特別な思いがあったからだと思いますよ。」
特別な思い?
「そう、例えば、性別を超えた愛とかね。」
なるほど、僕には到底分かりそうもないや。
真夏の水平線 @gyunyu580
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