出発は8月4日になった。やよい達は空港に直接集まるようにした。一が誘ったのは竹端と隈本である。空港のロビーに集う一行。

 そこに一人の男が名乗り出る

 「僕の名前は尾渡ですが、ご同行してもいいでしょうか」

 尾渡と名乗るこの男、頭上にCが表示されていることを確認した。

 「どうする?一。」

 やよいが言った。

 「構わない。一緒に来てくれ。」

 一が隈本と竹端を選んだのは彼らがそれぞれAとBに属しているからだ。最も一の知るところでは殆どの人間がAで竹端だけがBだった。隈本を選んだのは彼が一番後輩でいざというとき指示通り動いてもらうためである。

 一はこの文字記号がなるべく多様性に富んだ方がいいと判断して御渡をこの一行に加えた。

 もっとも伊坂やよいは後天的にBになったようなことを言っていたのだが。

 「事情は知っているつもりですが、後で詳しく教えて下さい。」

 空路の目的地はフロリダ州である。

 飛行機の中で座席についているチャット機能で一は尾渡と話しあった。今まで見てきたこと。これから何をしに行くのかを。

 

 そして約一日が経過した。尾渡から聞き出せた情報で新しいものはない。彼は誰かから招待状、VISA,パスポートを貰ったというのだ。彼は自分を月人と名乗った。一は月に住んでいる人かと勘違いしたが、ただの下の名前だった。


 フロリダのCane空港に着いた。ここからNAXAまで車で2時間。高速道路を使う。一行はボックスタイプの車を借りて走り始める。一が運転席で助手席にはやよい。後ろの席には後の3人。僕はこの時間の為に生まれてきたのかもしれない。



 一は生まれてから最高に胸が高鳴った。今まで一番欲しかった好きな人と一緒にゆっくりとした時間の中で知りたかった「なんの為に生まれてきたのか」がゴールにあるのだから。




 そしてNAXAに着いた。正面ゲートは巨大で何か巨大なものから侵入を防ぐかのように高くそびえていた。フェスの大音響が響いてくる。尾渡が忠告する。

 「一。君が父さんに会いたい理由はよく分かった。でも後の二人を巻き込む理由はあるのかい。特にAだのBだの。Bが危険に慣れてるってことは明白じゃないか。隈本君に何かあったら責任は取れるのかい?」

 僕は少し考えて

 「隈本。お前ここでフェスにだけ参加してろ。」

と言った。


  ゲートに入っていく5人、中では露店が複数。中央にバーベーキューをしてる複数のクループがあり、奥にはステージがあり、ロックバンドが演奏している。



 中略


 此処から先は一様だけが通過することが義務付けられています。



 「よく来たな。一。それにベガ・ライアー・ゼロ」


 「他でもない。お前たちを作ったのは私だ」


 「ゼロ、お前はまだ自分が死んでいった家畜の魂が寄り集まってできただの言ってるらしいな」


 「こと座α星から周期を借りてコーディングしたんだ。高かったぞ、お前は」


 「一。お前は母親のことを何も知らない。田中正子についてだ」


 「彼女は不妊に悩んでいた。原因は私にあるのにな」


 「だから私はお前をいちからつくった。試験官ベイビーだったんだよお前は」



 「そしてもっと大事なことがある。今からちょうど3年後、世界が滅びる。厳密に言えば地球が、だがな」


 「NAXAではどうして南半球でだけ星というものが一切見ることができないのかについてずっと議論してきた。結論はでた。この地球は巨大な地面のようなものに向かって落下している。その大地をBig Frontと呼んでいる」


 「衝突したらどうなるか分からない。ひしゃげるのか弾むのか。最も安全な場所は私がお前を設置したEarth roomだけだ。そうだ。あの石室だ。」


 「唯一人を保存する道、それがEnd Observer計画。中に入って活動ができるのは二人が限界だ。まさにアダムとイヴってわけだ」


 「この計画を知るものがB、知らないものがAだ」


 僕は意気消沈した。全てを伊坂やよいに委ねよう。



 結局僕は何番目になるんだろう。一番目だったらいいな。

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End Observer たくのしん @morethana

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