第3話



男は帰りにもりそばを食べようと思いました。


しかし、しばらく道をまっすぐ進んでいると、少し先にある区役所の前に、ずぶ濡れのおっぱいが立っていました。


鳥肌を立てたおっぱいが、男がやってくるのを待ちかまえています。


おっぱいは待ちかまえているのに、男の方を見ようとはしません。




男もおっぱいの方は見ないで、黙って無視したまま、前を通り過ぎることにしました。


しかし、男がそのままおっぱいの前を通り過ぎようとしたそのとき、男の顔になにか生温かいものがかかりました。


おっぱいの乳でした。




男が思わずおっぱいの方を見てしまうと、正面からぴゅっとかけられ、乳が目に入ってしまいました。


わぷっとなって、男が手で防ごうとしても防ぎきられない勢いで、男は何度も乳をかけられてしまいました。


男は練乳をかけられたかき氷みたいになりました。




なにをするんだ、と怒った男を、おっぱいはすぐに背を向けて無視しました。


おっぱいのうしろ姿は、まるでおしりのようです。


男を無視したまま、おっぱいはとことこと歩き出しました。


区役所の入り口の方に向かっています。




おっぱいは谷間から紙を取り出しました。


紙には何か書いてあります。


一回立ち止まって、ちゃんと書いてあるかを確かめているようです。


よく見るとそれは婚姻届でした。


川に落ちたので少し湿っています。


そしてなぜか、紙には男の名前が書いてあり、その横にはおっぱい、と書いてあるのでした。

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おっぱいと男 うんこ @kaorubunko

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