秘密基地に紅茶

「普通のサラリーマンなら、ブラックでしょうけど、軍のことは分かりかねますね。というか貴方は業務をサボっていたでしょう」

「それに加えて人外の相手もしているんだから、ホワイトではないと思うぞ。そしてあれは休憩だ。いい加減に理解しろ」

「そうおっしゃらず。ではでは、後で会いましょう大和」

 奴は俺の端末から出て行ったようで急に静 宿泊客に出す夕食を作り終えた俺は、自分の部屋に戻りまた安楽椅子に座りこんだ。すでに太陽は沈み、海は黒く染まっている。風が先程よりぬるくなったのが分かる。

 俺は胸のポケットからソフトケースを取り出すと、中から一本つまみ、口にくわえる。

「大和、生活習慣病でそのうちぽっくり逝きますよ?」

 アバドンの声は心配しているようにも聞こえるが、まあ奴のことなので、きっと心配そうに見える演技でもしているのだろう。きっと俺が仕事をしている間にしっかりと演技指導サイトを巡回したかもしれない。俺の勝手な想像だが。

「悪魔と契約して神を殺し回っているのに、成人病で死ぬとか格好悪すぎるな。おまえの力でなんとかしてくれ」

「現在の契約内容にそれは入っていませんね。契約の更改でしたら今すぐ資料を作成して表示いたしますが?」

「じゃあ黙っていろ。それと営業をかけても無駄だぞ。今の契約から内容の変更は無い。一切無い」

 会話が途切れる。

 夜の海を眺めながら三本ほど消費したとき、端末にメールが入る。

「ブリーフィング至急集合」と簡潔な内容だ。

「なあアバドン、一応特殊部隊の人間が、ホテルでシェフみたいに魚を捌いたりするのは、なんか違うよな。しかも勤務時間内だ」

「さあ? キッチンがボーナスステージの元軍人とかいるのであまり気にしていなかったですね」

「半世紀以上前の映画から引っ張ってくるのはやめろ。その仕事の後に、ブリーフィングとか入ってきて、拘束時間が十二時間やそこらじゃ済まないのはどう思う」

かになった。先にブリーフィングの場所に向かったのだろう。

 ソフトケースを胸ポケットにしまい込み、コック服のまま自屋を出てエレベーターを使い地下1階に行く。ここは従業員以外立ち入り禁止となっている。実際、置いてあるのは段ボールや備品で、倉庫のようなものだ。

 さらに下へと続く出入り口が隠されている以外は。

 エレベーターから降りると、俺は段ボールの積まれた部屋の中を進む。そして一番奥に置かれた鏡の前に立つと、右の手のひらを鏡へと触れさせる。いくつかの文字が浮かんでは消える。そして二秒ほどして、「認証:大和遼司」と赤い文字が出現すると同時に、俺の立っている床が下へと沈んでいく。

 まるで秘密基地めいた仕掛け。ガキの頃なら喜んでいたかもしれないが、大人になるとこういったギミックは面倒なだけである。そしてなぜ鏡を認証用の機械にしたのか。指紋が付くのが気になって仕方がない。

 しばらく沈んでいると、ガチャンという音とともに床は停止する。

 目の前には、成人男性が一人通れる程度の賃貸物件に使われているようなドア。

 中に入ると、打放したコンクリートの壁に囲まれている横幅二メートルほどの通路が見える。十メートルほど前方にT字路があり、合流する通路は大型トラックが通れるくらいに広く大きい。

 通路の突き当りを左に曲がり、しばらく歩く。何故ユースホステルの地下にこのような大きな空間を作ったか、そんな疑問が頭の中を流れるが今は関係ないことなので振り払う。関係ないことを考えすぎる癖はなんとか治したいところだ。

 通路の突き当りに、「国際神殺機関」と大仰な意味の書かれた立て札が壁に掛けられている部屋がある。

 国際神殺機関。通称IDEA。「International Dispose of Extra-humanitys Agency」と表記するらしい。一応国連が保有する組織だ。

 正式に存在はしないことになっている。日本語と英語が一致していないが、国連の上の方が「GOD」の使用を躊躇ったからである。「Diety」あたりで代用すればいいものを、頭の固い老人達はそれすら認めたがらなかった。人外の相手をするという意味では、俺たちはゴーストバスターズやモルダー&スカリーあたりと同じともいえる。

 四課とはいうが、実際のところ戦闘部隊が他に一から三課があるわけではない。一課は神話の研究。二課は神話生物(俗に言う神)についての研究。そして三課は各国の協調をとりなし支援するためのもので、戦闘能力は有さない。

 という体になっているが、現地の軍で将軍の椅子を奪い取り、世界地図とカンラン(オリーブ)の葉を印籠として命令を下しているのはこの三課なので、世界中の軍隊が駒として使える。いくら現在の世界問題としては一番重要度が高いとは言え、あまりにも権力を持ちすぎだとは思う。

 だが、俺もそのおかげでスムーズに仕事が出来ているのは否めないので、進んで糾弾する気にもならない。

 俺が所属するこのセクションの仕事は神災の直接的な原因の排除。すなわち神殺し。この課は非常にセキュリティレベルが高く、ほとんど非公式の領域になっている。理由は簡単だ。俺とエリンの機密性が高い。

 世界で対等に神とやり合えるのは俺たち二人だけだ。

 地上に降りてきた神(事実に基づいた表現をするならば、空から降ってくるわけでなく、どこからともなく湧いてくるが正しいが)には現代兵器の効きが悪い。ミサイルやマシンガン、戦車の主砲程の威力だと、どういった理屈なのかは知らないが、神に到達する前に爆発し威力が届くことがない。

 ただ、広域爆破で周囲の空間ごと何も残らないよう塵芥に変えてしまえば神も消滅させることはできる。

 つまり、核弾頭は北欧神話のミスティルテインや日本神話の天之尾羽張のように、広島長崎から続いてきた核の現代神話において、神殺しの武器としての一種の神性を帯びた。

 しかしながら、アフリカのコンゴで行われた核による神の一斉掃討では、甚大で膨大な人的物的被害を出した。カタストロフの際には中東周囲に多く出現した神も今では一週間に一体出ればよいほうという事実を踏まえると、出現の度に核弾頭による神への大仰な死の宣告を放つというのはあまりにも効率が悪い。

 そこで俺たち「国際神殺機関 四課」の出番という訳だ。

 現在のところ人類に味方する神はアバドンと、あの女山城エリンにくっついている何かの二柱のみ。カタストロフの時は多勢に無勢で、最後は核の使用に踏み切らせてしまったが、現在の出現サイクルならば俺たちだけで対処ができる。

 国連も大量出現時の対策は考えているようだが、その答えがでるまで、もしくはこのままずっと、俺たちが直接的な対決をしていくことになるだろう。

 情報を公開して、エリンを神殺系アイドルとして売り出せば、世界中が応援をしてくれるだろうが、それをしたところでメリットがない。

 そして、俺たちの情報が割れると、出現する神も対策をとる可能性は十分にあり得る。アバドンのように高度な知能を持った神が存在するからだ。故に、四課はできるだけ非公式の存在であるべきというのが上の見解らしい。

 中に入ると、左には何インチあるのかも分からない巨大なモニタ。右には大学の講義室のように階段状になった机がある。そこでは多数のオペレーターがパソコンと向かい合い、内容は分からないが集中して作業をしている。

 オペレーター達の真ん中の机、そこには黒いスタジアムジャンパーを着た、髭面の50代男性が頬杖をついてモニタを眺めていた。

 距離があるのと、口髭のために、あまり表情はわからない。

 顔写真をひっくり返したら別の顔になるなんていう騙し絵があるが、あれよりもご立派な髭だ。

 男はこちらに気が付くと「おい大和。こっちこい」と必要以上に大きな声で、呼びかけてきた。

 もう少し声の調節ができないのかと思いながら、男のところまで登っていく。すると男は「まあまあ、ちょっとそこ座れ」というように手をひらひらさせる。飲み屋の面倒なおやじか。

 しぶしぶと俺は、男の右隣に座りながら質問した。

「課長、ブリーフィングなのでしょう? さっさと始めましょうよ」

「そう焦るなよ、大和。早い男は嫌われるぞ」とニヤニヤしながら答える男。一応、この髭男は俺の上司にあたる……はずだ。

 河内 鉄宰。

「国際神殺機関四課」の課長であり、この機関全体の統率もしている。

 他のセクションもそれぞれ課長がいるようだが、その課を自由に動かす権限しかない。ひらたく言ってしまえば、河内課長は課長でありながら部長も兼ねているということだ。ちなみに俺は他の課長と会ったことはない。

 また、四課は実働メンバーが日本軍あがりで構成される、少々特殊な機関であること。そして世界中を飛び回ることが多いため、動きやすさを重視する都合上、この人の上には国連で一番お偉い人しかいないという立場だ。要するに課長も結構な偉い人。

「我々は攻性の組織だ。物事が起こる前に動き止めるために設立された。って大言壮語で作っちまったからよろしくな」とは課長本人の四課設立時の挨拶だ。

 見た目はちゃらんぽらんなおっさんだが、できる人だと思う。

「こっちは夕食作らされてしんどいんですよ……」

「まあまあ、コーヒー飲むか?」と笑顔で、横にあるコーヒーポットをこちらに差し出す。

「飲みません。何度でもいいますが、俺は紅茶派です」

 飲まないといつも伝えているはずだが、そんなことは忘れたといった様子で毎回のように勧めてくる。ただ話を逸らすために聞いただけにも思えるが。

「お前、本当に任務になると堅いよなあ。まあ落ち着け、山城が来たらはじめるから」

 そう言うと河内課長は自分のカップにコーヒーを注ぎ、飲みだした。

 こうなるとテコでも動かない我らが課長。マイペースというか自分の好きなタイミングでしか行動しない。仕方がないので、ちょうど近くにいた黒髪で眼鏡のオペレーターに紅茶を持ってきてほしいと頼み、課長の横でモニタを眺める。自分で淹れに行けばよかったなと頼んだ後に思ったが、オペレーターにも悪いのでゆっくり待つ。

「なあ大和。カタストロフからどのくらいになる」

 課長はコーヒーを継ぎ足しながら話しかけてきた。

「518日です。というか、俺にそれを聞くのは意地が悪いんじゃないですか課長」

 胸ポケットからケースを取り出し、一本くわえながら答える。

「ただ、ふと気になってな。あとそれはやめたほうがいいぞ。絶対寿命が縮む」

 そういわれても既に癖みたいなものなのだ。やめるにやめられない。だが、注意されたことを目の前でやり続けるのはどうかと思ったので、ケースをしまう。

 ちょうど、ポッドとカップが運ばれてきた。この香りはアールグレイか。オペレーターの女性に感謝の意を伝えてから口をつける。

 ……美味しくない。もっと正直な感想を言ってしまえば不味い。茶葉の量もかなり間違っているうえ、どうやらミネラルウォーターを使っているらしい。口当たりが普段と違うので少し気持ち悪い。だが淹れてくれただけでもありがたいので、そのまま何も言わずに飲むことにする。

「それで、どうして急にカタストロフについて聞いたんですか」

 不味い紅茶をすすりながら、俺は課長にしゃべりかける。

「ただ気になっただけだ」課長はこちらを見ず、コーヒーを飲み続ける。

 意図はあるのだろう。けれど、それを聞いて答えてくれる人ではない。そう判断した俺は課長に問いただすのを諦める。

 カタストロフ、国連での呼称はこれに統一されている。だが、各宗教や地域により「メイルストロノム」「アポカリプス」「カリ・ユガ」「ラグナロク」と呼び方は一定ではない。世界の変革。革命。大転換。審判の日。大災害。

 言葉の定義を頭の中で転がしながら、俺は紅茶のカップを両手で包み、少し昔のことを思い出していた。

 日本軍における最後の仕事だった中東での工作任務。その途中で起きた事件。あの日に焼けついた身体中の痛みが蘇ってくる。

 自然と手に力が篭もる。紅茶の熱が手のひらにじわりと伝わってきた。全身に走る灼痛と、手から入ってくる優しい熱が拮抗している。そして2つの熱の波が交じり合い、ゆっくりゆっくりと小さくなっていく。

 未だにカタストロフに関する事を思い出すと、痛みがぶり返す。完治した傷のはずなのだが。もう少し余裕を持たないと殺せるはずの神も殺せなくなってしまうな、と考えながらカップを回す。

 突然、紅茶が沸騰した。

「熱ッ!」

 カップを手放しそうになったが、急いでバランスを整えて、なんとか零さずに安定させる。

 誰の仕業だ。

 いや、分かりきったことだ。――こんな事をする奴は一人しかいない。

「Dia duit. 課長。そして大和」

 入り口の方から、快活な美しい声が響いてくる。

 山城 エリン。もう一人の戦闘要員。

 赤みがかったポニーテールを発光させながら、こちらを見て微笑む。左目の黒子が笑顔を引き立てている。

 ネイビーブルーの軍服で下は動きやすさ重視なのがスラックスタイプだ。だからだろうか、長い脚がさらに引き立っている。ファッション誌のモデルみたいなスタイルをだ。あの軍服はエリンが着るためにデザインされているのではと考えてしまうくらいには似合っている。

 やはり白人の血が入っていると、体格も足の長さも違ってくるものなのか?

 エリンは日本人とアイルランド人のハーフであるが、あまり白人といった感じの顔ではない。じっくりと顔を見れば面影がある程度だ。街を歩いているとよく見られているが、外国人を見る珍しさの視線ではないというのは俺でも分かる。

 どちらかといえば街で美しい女優にでも出会った時のような好奇の目だろう。

 街に買い出しに行った際、すれ違った男子中学生どもが大騒ぎしていた。気持ちはわからんでもない。俺も男子中学生ならその日はずっとハッピーだったろう。エリンの容姿は比較的整った顔立ちが多いハーフの中でも(主観的で根拠のない俺の偏見だが)非常に際立っている。

 ロシアのことわざで「この世に醜女はいない。ウォッカがたりないだけだ」なんてものがあるが、エリンに関しては男の大多数がウォッカどころか、粕漬けなしでもきっと大丈夫だろう。ウォッカを飲まねばならないのは美的感覚がズレているものだけだろう。

 だが中身がよくない。何かあるごとに人を焼き殺そうとする奴を女性として扱えるかといえばノーだろう。

 強さだけで言えば、エリンのほうが俺よりも圧倒的に強いのだ。

「ハロー、エリン。遅かったな」

 下手な英語で挨拶を返し、再沸騰した紅茶を飲む。また味が落ちた。

「英語しか知らないの? 他の言語で返事をしてくれない? ちゃんとあんたの空っぽな頭を使って、貧弱な語彙の中からさ」

 少しだけムッとしながら、ツカツカとこちらに歩いてくる。俺は英語で挨拶をしただけなのにもかかわらず、痛烈な罵倒が俺の言葉の三倍ほど飛んできた。ひどいものだ。

 そして仲悪いのか? イングランドとアイルランド。まあだいぶ揉めたしな。結局イングランドはEU脱退しちまったし。

「おお来たか山城。とりあえず飲み物持ってきて、ここ座れ」

 課長は入り口付近に立つエリンに向かって話しかける。隣にいると本当にうるさい。

「課長、ちょっと声大きいですよ」

 少々離れていようと課長の声は響くようで、耳に手を当て塞ぐようなポーズをする。

 エリンは俺の右隣に座ると、オペレーターにカップだけ頼んだ。一体何を飲むつもりなのか。まさか俺の紅茶を飲む気なのか?

「カップだけ頼んでどうする気だ? 空気中の水分を抽出するのか? お前は器用だな」

 彼女は「はあ? バカなのあんた? 見て分かるでしょ」と言いたげな顔で、こちらを見ている。

 俺は「ふざけるな、俺の分しかないぞ、この紅茶」と目で伝えるが、無視される。

 ものすごい眼力でにらまれている。蛙を睨む蛇といった形相だ。

 もっと優しい表情で上目遣いなら大抵の男はいうことを聞いてくれるぞ。中身さえ知らない男ならっていう前提はつくが。性格を知っている俺はどんな態度だろうと持ってこないが。

「あんたの紅茶ならそこそこ飲めるのでしょう?」

「これは俺が淹れてない。オペレーターが持ってきてくれたんだ」

「はぁ? バカなの? 紅茶と料理しか能がないのだから、それくらい自分でやりなさいよ」

「ブリーフィング始まる前にいちいちやっていられるか、アホ」

 俺の言葉にムスッとすると、無言でポットの中の紅茶をすべて蒸発させた。ポッドの中には紅茶の成分がこびりついて残っている。馬鹿なのかこの女は……

 空にするからまた淹れてこいよ、とでも言うのか?

 俺は行かないぞ、ブリーフィングの時間だ。

 たとえポットが空でも行かないぞ。

「ほら、無くなった。淹れてきなさいよ、あんた」

 本当に言い出すとは……

「全部蒸発させちまったお前が淹れに行けばいいだろう……」

「いいから、行く。はい、よーいドン」

 こうなると自分の思い通りになるまで動かない。俺相手ならば、無理を通せると思っているのだろうか。

 仕方ないので席を立ち、給湯室に行くことにした。……これがいけないのか?

 俺たちのやりとりを無言で見ていた課長が、ニヤニヤとしながら言った。

「おまえら、仲良いよな。やっぱ付き合ってる?」

 中学生か……。他人の恋愛話が大好きな中学生か……。

 見てくれは悪く無いが性格は赤点以下の女なんて、正直ゴメンである。一つの「優」より二つの「良」、もっといえば三つの「可」。それが俺の他人へ求める評価だ。女性的な事で言うのなら目鼻立ちがいいとか、料理がプロ並とかそういった長所があっても、それを差し引いてマイナスになるような短所があるタイプの人間は苦手だ。とりあえず性格を合格ラインまで上げてから出なおして欲しい。

 俺が言葉を発する前に「こんな万年糖尿で怠惰で私より弱い男とか、死んでもイヤです」とエリンは真顔で答える。

 癪ではあるが、同意見のようだ。

 だがエリンよ、お前より強い男とかこの世にいないぞ。あと俺はたしかに糖分が好きだが、糖尿じゃないし血液もサラサラだ。二百五十億分の一の異能健康体だぞ。

 実際、同じ契約者としての仲間意識はある。

 さっきも述べたことだが、四課で戦闘要員は俺たち二人しかいないのだ。いままでは無かったが、もし戦闘で協力が必要ならばしっかりと連携も取るし、脚を引っ張ることはしない、はずだ。

 それはおそらく向こうもそう思っている、はず。だからといって、日常生活でも仲良くやる必要はない。上手く距離をとってやっていければそれでいい。

「俺も結構です」

 ここに立っていてもエリンの罵倒機関銃が飛んできて空気が悪くなるだけだと思い、紅茶を淹れるために給湯室へ向かう。

 その後はブリーフィングだ。


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飛んで火にいる夏の蝗 片平乃辻 @notsuji

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