Hello　Would

　二〇四〇年――。
　予定よりも少し早めのシンギュラリティ（技術特異点）を迎えた世界は、ＡＩを最大限に活用し、より人々の生活を豊かにしていた。
　横浜の大学に通う伊庭一心もその一人だった。幼馴染の御厨譜月に毎日世話を焼かれながらも、自身の専攻でもあるアンドロイドについて日夜熱中していた。
　しかしある日、一心の目の前には傷だらけの譜月が表れた。装いは軍服であり、いつもと雰囲気が違う。そして、一心に向かって譜月はこう言った。

　――私たちの世界に帰りましょう、シンさん。