第ニ話

説教は30分ぐらい続いた。

俺は何一つ納得していない。

なぜ俺と秋だけが、悪口を言ったことになっている。

クラスに戻るとみんなが睨んできた。

そして、今度は俺達が。

半年間耐え続けた。


やっとの思いで、卒業式前夜。

みんなが、感謝の言葉を黒板に書いている。

俺と秋は離れたところでそれを見ていた。

みんなが帰ったあと、そのメッセージを消した。

帰り道、秋と話していたら、「ごめんな」と下を向いて、秋は呟いた。

「何が」とすぐに聞き返した。

「俺のせいなのに、お前が孤立したのは。ごめんな。俺、お前と入れて楽しかったよ。」

空を見上げて言った。

その潤んだ瞳から滴がこぼれ落ちる。

秋は少し遠い中学に行くようだった。

向こうの陸上のコーチ声をかけられているらしい。

「そうか。俺も楽しかった。」うまく笑えなかった。

家に帰ると涙がこぼれた。

涙が枯れるまで泣いた。


そして、卒業式。

式が終わるとみんなは教室へと向かって行く。

だが、俺は教卓の上にー僕はクラスメイトではないんでーと書いた紙を置いてきた。

これで秋と最後。

「あいつら今頃どんな顔しているかな」と二人で笑った。

最後の時だ。本当にこれで。

昨日、枯れるまで泣いたはずなのに。

滴が一滴、ぽつりこぼれ落ちる。

やばい。泣いてしまう。

その前に、「ありがとう」と言い、一枚の写真を渡した。それは、二人の写真。

秋は「ありがとう。本当にありがとう」泣き崩れた。

そんな秋の肩を叩き、「帰るね。また…」会おうと言おうと思ったが辞めた。

これで良い。これで秋は前を向ける。これでよかった。と自分に言い聞かせた。

帰り道、僕は泣いていた。その悲しみを紛らわすために走った。家までに遠い道のりを一度も止まらずに走った。

やはり、人の顔にはモザイクがかかっている。

秋以外信じれる人なんかこの世にはいない。

そう思った。

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