心を隠して

アルト

第一話

俺が小学6年生の頃。

俺クラスに嫌われている奴がいた。


毎晩、そいつの悪口を5〜6人でゲームを通して、みんなで言い合っていた。


ーあいつキモくね

ーそれな。なんか、めっちゃ身体触ってきて、すご嫌だった。

ー確かに、ゆうちゃんのことずっと見てるよね。

ーまじで…最悪じゃん。

このような会話が、三ヶ月ぐらい続いた。


でも、嫌っているように見えないくらい普通に、その彼と接している。−みんな怖いな−と思いながら、その光景を見ていた。


「薫ー」と後ろから呼ばれたので、いきよいよく振り返ると。上には天井があった。それとともに頭の痛みに襲われた。−あ〜転んだのか−「うわっ、ダッサ」と足元から、秋の笑いながら言う声が聞こえた。「うるせー」

と俺は言い返してやった。


秋はこのクラスの中心的存在だ。長身で顔も整っている。俺は、秋と気が合うみたいだ。よく一緒にいる。そんな毎日は楽しくて、この生活がずっと続くようにと願っていた。

だが、その願いが叶うことはなかった。


ある日、秋が彼を殴っているのを見てしまった。秋は涙目になっていた。そして、その現場に先生に目撃されて、騒ぎは大きくなった。


先生との話が終わり、彼が帰って来た。席で彼は泣きだした。大丈夫、どうしたの、とみんなが彼の元へと集まる。もちろん、俺は集まんなかった。そうすると彼が「秋がみんなお前のこと嫌いだ。て言われた。」と言った。そうすると、みんな同じことを言った。「そんな訳ないよ。そんなに秋のデタラメだよ」と。虫唾が走った。−気持ちわり。悪いのは秋かよ。−


その瞬間みんなの顔にモザイクがかかった。これはきっと俺が見たくないと望んだのだと思う。


「薫もそう思うよね。」とあるやつが聞いてきた。俺は聞こえないふりをした。そうすると「薫。おーい」と呼んできた。−うざいな、どいつもこいつも。−「何聞いてなかった」と自然を装い答えた。「秋が…ラメ言って、…を殴ったんだよ。最低…思わない。」みんなの声すら、俺は聞きたくなくなったようだ。ノイズが掛かるようになった。−最低はどっちだよ−「キモい…」と呟いた。


秋が帰ってきた。

そして、先生に俺も呼ばれた。



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