第2話 おまけ ~未来予想図~

 「それじゃ、行ってくるよ」

 今日で、俺は16歳になった。そしてこの日は、俺がバンドに入って最初のライブの日なんだ。11歳でギターを始めて、よくヒューゴ兄さんやフィル兄さんの元で練習したり、ギターを持ってる友達とデュオのまねをしたり、パーティーとかのときには、リクエストがあったらギターを披露したりもしたな。

 でも、大勢の人の前で、しかもステージの上で演奏するとなると、やっぱり不安になるんだ。ファンの歓声にこっちがビビッたり、テンパり過ぎて途中で失敗しないだろうか…。


 俺がそんな不安を抱えてると、母さんが言ってきた。

「あ、まだ行かないで。おまえにあげるものがあるの」

 って言って、部屋に入ったかと思うと、すぐ戻ってきた。おしゃれな小袋を持ってね。

「はい、これ。お誕生日と、デビュー記念のプレゼントよ」

 プレゼントと聞いて、俺は素直にうれしかった。

「わあ、ありがとう、母さん。開けていい?」

「もちろんよ」


 プレゼントを開けるときって、いつもどきどきする。

「何だろう…」

 袋を開けて中身を出してみると、それはリングが三つ付いてるネックレスだった。真ん中のちっちゃいリングには、ルビーが付いてて、俺の名前と生年月日が刻まれてる。俺は、自然と笑みが浮かんだ。

「すっごくうれしいよ。本当にありがとう、母さん」



 その日、俺はそのリングネックレスを身に着けて、ライブに臨んだ。始まる直前、リングを握って上を向いて、大きくうなずいてから…。

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Bond Rings ミュゲの舞 @muguetnomai

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