静かな海底に居る様な感覚。
ただその静かな時間の中で感じる圧はさながら深海の様相を示し、生きた化石と称されたシーラカンスの少年に、深海にてその目を光らせ、獲物を捕らえるさながらボウエンギョの様な少女が織りなす日常は、特別性を秘めた可能性と得体の知れない焦燥感が混在する青春そのものであり、この作品は若くないと書けない、今だけの物語としての輝きを秘めています。
間接的な表現もくどく無く、言葉短でも読者の心に沁みる厳選された言い回しは正しく小説書きの卵。作中に倣えばゆで卵とした方がいいかも知れませんね。一癖ある先輩と後悔に沈む後輩の結末や如何に?
まだまだ実力を秘めた若き逸材にエールを。