ある意味、黒い穴を掘った作品

『ドン・キホーテ』が中世の騎士道精神を崩壊させたように、これは現状況に於ける異世界ファンタジーの停滞と堕落を痛烈に批判し、地に貶めた悪魔と言える書物だろう。わたるを”登場人物”とした点や、鳥の群れを寓意的に用いる振りをした点などから、この作品は間違いなく後世、異世界ファンタジーの新たな金字塔となり十字架となろう。そして既存の名作と呼ばれた異世界ファンタジーの小説は、例外無くこの黒い穴に堕ちるのだ。

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