異世界には夢が在った

第2話 ふたりの夢

「怪我してないか？」

「あ、ああ。そっちこそなんともないのか？」

「まあこのくらいじゃな！鍛えてるしな」

「俺は里山指糸。…まあアンタの片割れらしい」

「俺はユビート。キング・ユビートだ！ 会いたかったぞ俺！」

「こらユビート。確かにもう一人の君だけどそれは言葉の綾だ。ユビイトはユビイト、ユビートはユビートだ」

「これが…こっちの世界の俺…」

「ふむふむ。こっちの俺はよわそーだな」

「そう言うなユビート。向こうの世界では戦いなんてないし魔力だってないんだから

それにユビイトは君より相当頭が切れるぞ」

「力は俺。頭脳はお前ってことか！…はは、やっぱ俺ってすげーんだな」

「なにがだい？」

「俺ら二人が合わされば、頭脳も完璧 肉体も完璧！ 完璧じゃねーか！」

「君のお馬鹿加減が勝つと思うけどね」

「んだと！？」

完全に置いてけぼりだ。

話についていけないし、こんな馬鹿が俺の片割れか…

ガヤガヤ

ガヤガヤ

「？ユビート、また王宮抜け出して来たんだろ？

追っ手の爺さん達が近づいて来てるよ」

「な、なに！？この俺の完璧なる逃走に追い付いたのか！？」

「どうする？強いと言っても今の君ではあの数の老師達が抑えに来たら捕まるよ」

「なんだ、王宮？」

「ユビイトはちょっと待っててね、後で説明する」

「ぬぐぐ…また捕まって《裁きの檻》に入れられるのも嫌だ…折角俺に会えたのに…

…はっ！ 分かった！よし、俺！協力してくれ！」

「…え？」

「はぁ、はぁ、この辺じゃ」

「ん？貴様はソーマ！ 若様を見なかったか？」

「老師様達。これはこれは。僕は今非番でしてユビート様は見てません」

「頭がおかしくなったのか？ソーマ。

お前は若様含む王都の騎士だが、若様とは旧知の仲。

脱走の手引きをしたくなるのもわかる。

じゃが…

横に若様がおる状態で見てないもなにもないじゃろうが！」

「これはユビートではありませんよ、魔力を見ればわかるでしょう？

ただの向こうの世界の、ユビートに似てる青年ですよ」

「あの…その…」

「なに？ …本当じゃ、若様に体内魔力は似ておるが魔力量が向こうの世界の人間じゃ。

…このタイミングで…少しばかり怪しいが…

まあよい。若様を見つけたら捕まえて王宮に連れてくるのじゃぞ！」

「了解しました」

「行ったよ、ユビート」

『おう！やっぱ俺ってば天才！？』

「ど、どうなってるんだソーマ」

「えっとね、ユビートの禁術の一つなんだけどね

自分とほぼ同じ存在ならその者の体の中に入れるんだ。

魔力も共有できるし、君の体を勝手に使ってこうやっておしゃべりもできる」

『そういうこと！』

「そういうことか、俺に紛れることで自分の魔力を消してるんだな」

「うん、そういうこと」

「ふむ。…ん？それで、いつ出るんだ？」

『え？』

「え？」

「え？」

え？

「出方を知らない！？」

「そういえば…ユビイトに出逢ったのは今日が初めてだしこの禁術はユビイトに対してしか使えなかったわけで…

そういえば僕でさえ解除方を知らなかった…」

『はっ！てい！うおお！ ダメだ！出れない！』

「お、おい…それじゃまさか…」

「…な、なんとか出方を探してみる。それまで…」

「『くっついたまま…！？』」

「仕方ないじゃないか、それしか手がない。

じゃあちょっと資料を取りに王都図書館に行ってくるよ

僕の家の鍵を渡しておくから、好きに休んでてくれ」

『むう…。まあ仕方ねーか！ 「俺」の中なら悪くねぇ』

「待て困る！俺はこの世界に長居するわけには行かないんだ、帰らないと…」

『って言ってもなー。 こっちに入っちまったそっちの世界の奴らは魔力がないから時超えの門を潜れねーから帰れねーぞ』

「なんだと？ …いやでも待てよ、今はお前が俺の中にいるんだろ、ユビート。 お前の魔力があれば…」

『あー確かにそうだな。でもこの術に相当魔力使っちまったからどうやっても今日は無理だぞ？ それに俺だって一応王族でな。継ぐ気はねーがこの街を捨てるわけにもいかねーんだ』

「つまり…俺がどう言おうとお前が魔力を出してくれなきゃどうにもならないしソーマの解明待ちってことか？」

『…すまねぇなユビイト。迷惑かけちまった』

「いいよ、もう。済んだことだし…」

『魔力は俺の気分で出せるが移動や生理現象なんかはお前のさじ加減なんだよな

俺の声は魔力を使えばお前にしか聞こえないようにも出来る。それで話があるんだ。

俺がお前の中にいることはソーマ以外には内緒だ』

「誰か知識のある人に頼んだ方がいいんじゃないのか？」

『魔法の知識でソーマに勝てるやつなんてそうそういねぇ。

解明はソーマに任せるんだ

それどころか俺の王位継承を疎ましく思う輩もいる、狙われちまうぞ』

「そうか…。ってか聞き流してたけどお前…つまり俺はこっちでは王族、なのか？」

『んあ？ あー、この王都の国王の息子だ』

「…おふくろさんはいるのか？」

『母さんか？ ああ、今も城にいるぞ』

「……しいな」

『ん？なんて言った？』

「いや、何もないよ。独り言さ」

『おかしな奴だな…。 まあいいや！取り敢えず今襲われたりしてもやべーしソーマの家に行こうぜ』

「…ああ」

ーソーマ 家

『たっだいま〜』

「お前の家じゃないだろう」

『ユビイト、その棚開けてくれ』

「勝手にいいのか？」

『良くここには逃げ出して遊びに来るからよ、自分家同然なんだよ

そこには俺が前買ったお菓子があるんだ』

「そういうことか」

「…遅いな、ソーマ」

『この術を生み出した時な』

「うん？」

そう言うとユビートはさっきまでとは違う真剣な声で話し始めた。

『周りに人は3人いたんだ。

親友のソーマ。国王である親父。そして母さんだ。

“自分とほぼ同じ存在に融合出来る”。

それがこの術の効果だ。名前はない。付ける前に親父が禁術として使うことを禁じた。

原理も分からないし本当に乗り移れるのかも分かんなかったからな。“自分とほぼ同じ存在”ってのはユビイト、この星でお前だけだからだ』

「そうだな…。」

『でもよ。もっと簡単に出入り出来ると思ってたんだ。

術の原理が分からないのに使えるのは…ソーマは俺が「天才」だからだなんて言ってたけどさ。

適当に自分の中の魔力を組み合わせて…こう…気合いでやれば出来た。だから俺にも良く分からなくてよ』

「お前も実は賢いんじゃないか？ユビート」

『うるせっ。 …んでよ。俺には夢があんだ。

ソーマにもちょっとしか話したことのない俺の「夢」』

「今日会ったばかりの俺に話すのか？」

『…お前は俺だ。んで俺はお前だ。今は存在だけじゃなく言葉通りだけどな。

だからお前にも知っていて欲しいんだ、ユビイト。」

「…分かった、聞かせてくれ」

（俺には夢がない。 夢どころか金がないせいで友達の親にまで迷惑をかけるくらいだ。

こっちの俺は王族で家族もいて、あんな優しく良く出来た友まで作ってる。…それは俺もかわらねぇか。

…そんな俺の夢に今、凄く興味があるんだ）

『この世界はふたつある。それは俺たちは昔から知ってるがお前らは俺らのことを知らなかったろ？

…ならなぜ二つの世界が一つの星にある？ どうやって？なんの力が働いて互いの世界は干渉し合わない？

そして綻びもある。お前がこっちにいることがその証拠だろ？

…俺はその全ての「謎」を解き明かしたい。

“この世界の全てが知りたい”』

「それが…夢か？」

『おう』

「立派だな。お前は凄いよ」

『俺はもう一人のお前だ。お前だって立派ってことだよ』

「…俺にはお前みたいに立派な夢なんてない。

そしてそれを叶える力もな」

『おい、何をーー』

「俺とお前は違う。どうやら違うよユビート。

俺には両親はいない。唯一の友にも迷惑をかけ続けてる。あいつはきっと内心俺を憎んでるのさ。

俺には魔力もない。空も飛べないし力も強くない。

…明日生きることで精一杯で先の夢なんて見れやしない」

『ユビイト…』

「お前がお前を俺なんかと一緒だと言うのも正直辛いんだ

お前みたいに凄くないんだよ俺は！」

あれ…俺、何言ってんだ…。

馬鹿だろ…。本当に。

その時俺の体は強い光に包まれ、気が付けば二人に別れていた。

「…あれ？ユビイトが目の前にいる…どうなってる？融けた？」

「……理由は分からないけどどうやら戻れたみたいだな。

俺はもう行く。お前は俺じゃない。似てるだけだ。

きっとこの世界のどこかに俺と同じ出来損ないが死にそうな面して俺を待ってる。

俺はそいつの所に行くよ。猫も探したいしな」

「おい、ユビイト！ あのなーー」

「…さよならだユビート。ソーマに宜しく頼む」

「ま、まて！」（くっ、魔力が足りない…急に立てない…っ）

「ただいまユビート、ユビイト！解除方法が分かったよ！

なんか片方の心が「同じ存在」から外れ 離れた時勝手に融けーーー…ユビート？ユビイトは？」

「…行っちまった」

「え？融けたのかい？！」

「…お前の言ってた方法でな。ちくしょう…。」

『兄ちゃん、本当に生身でこの街を出るのかい？

そっからは砂しかないサバクってやつだぞ？』

「おじさんが言ってた通りだ。一面砂。これが砂漠か。

東京に住んでた俺には分からない世界だな」

俺は歩いていた。

この街に俺はいない。

もっと…もっと何処か遠くにいるんだと、自分に言い聞かせて。

「見つけたぞ！」

「？！なんだ？」

「貴様、ユビートだな！その顔…見間違えんぞ！」

5人ほどの武装した集団に囲まれる。

俺とユビートを勘違いしてるみたいだった。

「待ってくれ、俺は…えっと、向こうの世界の人間なんだ、魔力とかないだろ？」

「？！？」

そう言うと奴らはボス格の男たちに耳打ちをいれる。

何かを話してるようだ。

するとしばらく黙り込んだボス格の男が口を開いた。

「王宮都市の国王の一人息子、ユビートは自分と同じ存在に混ざる技を持つと聞く… 貴様の中に居るのだろう？ユビートがな！！

それに勘違いして貰っては困る。

俺たちはとある国の雇われ者だ。

金さえ貰えればいい。死骸は魔力なんて放たねぇ。

つまりだ。ユビートそっくりのお前の首で良いってわけだ！！」

「なっ…！」（そうか…ユビートを殺すために送り込まれた刺客ってわけか…）

なら…

「ふ…ふふ…ふはは！」

「なんだ…？何がおかしい！」

「よ、良くわかったな！ お…俺がユビートだ！

お前の…言う通り…向こうの世界の俺に混ざってるんだよ！」

（これでいい…これで…ユビートと夢を守れる）

「やはりか…！お前ら！殺れ！」

「「「「おおおおお！！！」」」」

「くっ…！」（逃げなきゃ…死ぬっ…！）

よう。相変わらずだか俺は追われてる。

今度は俺を殺すために追いかけてくる殺し屋的な奴らだ。

少しは格好が付いたか？

こんな死に方…まだガキの俺には怖くて仕方ない。

だから格好悪く逃げ回ってる。

幸い飛び道具がないようで剣を振り回してくる。

あっ…転けちまった。仕方ねーだろ、地面が砂で走りにくいんだ。

……皆すまねぇ

「ソーマ！右を抑えろ！俺は左と奴を叩く！！」

「了解…！魔力装填…ハァァ！！」

ズバッ ズバッ！！

「ギャアアア！！」

「うおらぁぁ！！」

ドガッ！！

「なっ！！」

「ふうー。間に合った。ユビイト、君は無茶をする」

「俺と同じ面なんだぜ？ こうなっちまうだろうがよ！」

「ユビート…ソーマ…。どうして…」

「決まってんだろ。

“俺”を助けに来た…！」

「君とはお茶した仲だ。君がユビートの片割れだろうがそうじゃなかろうが僕らはもう友達さ」

「…俺はグリザ。ユビート。貴様の首を殺るように依頼された殺し屋だ」

「へぇ。良い度胸してんな。俺がユビート本人だ。

こいつは俺の大切なもう一人の俺さ」

「…ユビート…俺は…」

「うるせぇ。お前は俺だ。絶対にそれはかわらねぇ。

…それに俺の夢を話してやったのにお前の夢はまだ聞いてねぇ」

「俺には夢なんて…」

「ならお前の夢が見つかるまでお前には居なくなって貰っちゃ困んだよ！ 俺のもう一つの夢は…もう一人の俺の夢を聞くことなんだからよ」

「ユビート、来るよ。僕が相手をしておく、ユビイトを頼む！ハァァ！！」

「…よし。 立て、ユビイト」

「…何をするんだ」

「まずはその泣きそうな面をしばいてやる」

そう言うとユビートはキツい平手打ちをお見舞いしてくれた。

「痛っ…」

「そしてお前をあの時追いかけれなかったダセー俺にも一撃だ！」

ユビートは自分を殴る。

「魔力は…ジジイどもに真面目に勉強する約束をして分けて貰った。もう大丈夫だ。

でもよ、俺は色んな魔法も禁術も使える魔の才があるのに馬鹿だから術式を覚えきれないんだ」

「ならどうするんだよ…？」

「…お前、頭良いんだよな！俺と違ってよ！」

「…え？」

「オラオラ！！」

「ぐぁっ！

…くそ、流石はユビートを殺すために雇われた殺し屋だ、“あの剣”が無いとは言え僕をここまで…」

「次でお前は仕留める。 そして後ろのユビートを切り刻む！

この俺の斧から逃げられた奴はいねぇ。

…さあ、最後だ！！ ウォラァ！！！」

魔力を帯びた斧は大地を叩き割る！

砂漠の地は斧を中心に亀裂が走る。

「くっ…はぁっ！ 魔力制御！」

ソーマは剣を地面に突き刺し魔力をありったけ流し込む。

すると亀裂は止まり、大地の崩壊が収まる。

「くっ…」ドサッ

「やはりそう出るよな王宮騎士。

お前が自分の剣を持って来てれば俺なんか瞬殺だったのになぁ！ハーッハハハ！ 魔力を使って大地の崩壊を止めたのは良いがお前はもうフラフラ。

これはかわせないな。特別な技？いいや？ただの斧振りだ！」

「マズい…っ」

「炎の壁（リルケルト）ォ！！」

轟音を立てソーマの前に炎の壁が現れる。

斧は炎に遮られソーマに届かない。

「…この魔力…ユビート？ユビイト…なのかい！？」

「いいや、違う。俺はユビートでもユビイトでもない。

ただの夢を探す旅人だ！」

「その姿…ユビート、また禁術でユビイトの中に…」

『まーな！ ここはユビイトと俺に任せて下がってろ！』

「…！ 了解！」

「今度こそ融合したか。まあいい。俺の目的は貴様らの首だ」

「グリザ…だったか？ …俺は正直ここに比べて平和でぬくぬくした世界で生きて来た。

勿論そんなやばそうな斧なんて見たことないし今の炎の壁なんて今でも自分の手のひらから出たのが信じられないほどだ。

…夢かもなんてまだ思う。

妄想が膨らみすぎて取り返しのつかないことになってるのかも知れないとも思う。 でもな。

俺を信じてくれた「俺」の気持ちだけは疑いようがない！」

『…！ …よく言ったぜユビイト！ さあ行くぞ、頭の中を集中して探すんだ。 俺が今まで覚えて来た術式が浮かぶだろ？』

「…ああ、でもバラバラだ」

『俺が暗記できなかった証拠だ。面目ねぇ！

でもそれを繋げてみろ。俺の声は今お前にしか聞こえてない。 分かるか？つまり…』

「お前のアドバイスは俺にしか聞こえてない。気にせず戦えばいいんだな！」

『おう！ お前なら繋げられる。見せてくれよ、俺にお前を！』

（右手を構えて…左手に魔力を集中…。こうか？

…そして溜めた魔力を体の中を通して右手に持って来る。

右手に最初から溜めたんじゃバレるからか）

「おいおい…即席のコンビと戦闘未経験者のガキで勝てんのか！？この！殺しのプロにな！！」

『突っ込んで来るぞユビイト』

「ああ、正直ちびりそうだ」

『チビってもいいぜ？』

「いや…お前の尊厳に関わるさ」

『あっははは！ そりゃそーだ！』

「左手に魔力を溜めてるのがバレバレだ！！

この！！素人がああ！！」

『今だユビイト！』

「おおおお！！！！」

「な…なぜだ… 確かに左手に…」

「左手に魔力を溜めていたのは囮だ。

お前に攻撃を右手で入れる瞬間、右手に体の中を通して即座に魔力を左手から移したのさ」

「そんなこと…出来るわけ…」

「お前らからしても非常識なんだなユビートの力って。

でも悪いな、出来ちまったんだから仕方ない。」

「ぐ…っ…でも…まだだ」

「ああ、斧を頑張って振り上げたところ悪いけどよ」

「……！？」

「この技さ。後から衝撃が襲うらしい」

「…っ！ゴプッ！」

吹き飛ぶグリザの巨体。

時間差で飛んで来る衝撃。

ユビートが覚え俺が完成させた。

これはそう…紛れもない…

『これが！「俺たちの技だ！」』

『よーし！らくしょーらくしょー！』

「は、初めて人を殴ったな…」

「二人とも、無事かい？」

『そりゃこっちのセリフだ。あの剣がないからって王宮騎士であるお前がなんてザマだよ』

「ハハ…面目無い。」

「ユビート…ソーマ…。来てくれてありがとう。

ユビート…俺は…その…」

『分かってんよ。

ここに来る途中さ お前を探してソーマの魔法で聴力を上げてたんだ』

「それって…」

『ああ。お前が俺のフリして囮になろうとしてくれたのも聞いてた。口では俺じゃないなんて言っときながら…お前は優しいやつだ』

「ユビート…」

『なあユビイト。俺と生きてみないか？

俺はお前を助け

お前は俺を助ける。

俺の嫌いな勉強はお前がやって

お前の苦手な「生きる」ってのは俺がやってやる。

二人で一つになれるんだ、この地球の民は。

俺たちは揃った。…そうだろ？』

「…俺は…俺は…！」

「俺の夢は！！」

今まで…誰に話してもバカにされて来た。

無理だ。出来ない。ガキめ。現実を見ろ。

散々言われ続けて忘れていた。 俺の夢。

「誰かの役に立って…誰かを守れる人になりたい！！」

『良い…良い夢じゃねーか！』

その一言は、俺の過去を貫き 未来に橋をかけた。

「…俺は里山 指糸。東京に住むしがない高校生だ… お前は？」

『俺はキング・ユビート。王宮都市に住む次の王様っぽいガキだ！宜しくな！』

「…ああ！」

「良い話なところ悪いけどさ、二人とも自分の片割れだって認め合って…どうやって二人に戻るの？」

「え？」

『は？」

『「え？」』

こうして俺の第二の人生が始まった。

約1名の大馬鹿と出逢ってから。