第2話 実技
「え〜実技だけど、2人一組で模擬戦やってもらう」
場所は変わって、第1体育館。
莫大な土地に構える大学校だけあって、体育館の規模も模擬戦をするには十分すぎる広さだった。壁には上級魔法のバリアが張っていて、体育館を損傷させる事もない
最上級魔法を扱うリンにとって、上級魔法のバリアでは少し心配だが、
「え〜まじかよ。よりによって
「うわ〜、ドンマイ。1人でなんとかするしかねえじゃん!」
模擬戦を行う二組以外は、上の観客席へ移動した。
リンとレオは、一番上の席に座った。
「リン、お前さっきから焦った表情してどうした?急にガラでもなく怒ったりして」
レオは、リンの少しの変化を見抜いていた。
彼女は模擬戦を見ながら、静かに口を開いた。
「・・・・・・機神が復活した」
「・・・・ッ」
この世界には、
人間による滅亡により、世界は平和を迎えていた、はずだった・・・・。
「次〜、リンとエレース。して〜」
「・・・・・呼ばれたぞ」
「・・・・うん。国家機密だけど、レオには言っておく。第2次機神戦争もそう遠くはないかもしれない」
リンは立ち上がると同時、一瞬で教師の目の前まで移動した。
鮮やかな芸当に観客席からは、おおっと歓声が聞こえる。彼女は、手のひらから空間を歪ませた。
『来て。美しい刀神イシス。この手に』
リンの手を差し伸べた空間が青く光る。
そこから、銀色に鋭く光る刀が姿を表した。黄色い歓声が更に勢いを増す。彼女の周りには、大量の水属性波動が波を立てながら渦巻く。
「さすが。『六天』の水属性女王」
「さぁ、来なさい。手加減はしてあげるわ」
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「次、レオとジャック。して〜リオレスと、ナディア」
リオレス。
先ほど、レオとリンを挑発した金髪の男だ。彼は、面倒臭そうに観客席から降りる。
「いや〜まさかね。戦闘記録員と模擬戦をするとは。実技点もあるんで、恨まないでくれよ。ハハッ」
戦闘開始と同時、リオレスの周りには雷が轟音と共に唸る。
レオを倒し、2人で悠々とジャックを狙おうという算段だ。雷の数十という数の刃がレオ単体を狙う。
「さぁ、必死によけてくれよ!!上級魔法『雷轟』ッ!!」
「くっ・・・・!」
レオはなんとかといった表情で受け身を取りながら転がり、避ける。彼は、一瞬目を離し、呆然と立ち尽くすジャックを睨みつけた。
「おいっ!お前も参加しろよ!チームだろうがッ」
「
「・・・クソがッ」
レオは予め用意していた、魔法耐性のある剣を手に取る。その剣で、雷を切った。2対1。魔法の使えない彼にとって、これ以上ない不利な状況。
余所見を一瞬した所為で、リオレスとナディアを見失う
「おせえ。遅すぎるぜ」
雷を拳にまとったリオレスが、レオの背後でそう吐き捨てる。
彼の背中を雷の拳が炸裂する。視界の歪みと共に、数mの宙を舞っていた。
「雷属性上級魔法『雷拳』」
意識が遠のく。
そんなレオの服を掴み、至近距離で再び『雷拳』を発動させる。やれー!やっちまえー!と、観客の声援がリオレスを後押しする。
「俺はお前みたいな無能の癖にイキがってるクソが大嫌いなんだよ。ここは、魔法士を育成するところだろ?さっさと見切りつけて失せろよ」
「自分の才能に酔いしれて、天狗になってるやつは一生上には上がれねえよ」
「ッ・・・、死にてえみたいだな。無能の癖にほざくんじゃねぇ!!」
リオレスが雷拳を放つ瞬間、轟音と共に第1体育館の天井が突然爆発した。
一瞬にして、場の雰囲気が凍りついた。
そこには、3mを越すであろう鋼の装甲を身にまとった化け物が5体、こちらに顔を覗かせている。足から顔まで錆びた鋼の集合体のような体で、目の部分が黄色く光っている。
「まっ、
その瞬間、観客席から悲鳴が走った。
クラスのほとんどが、必死の形相で逃げ場所を求めて走り出す。そこに、先ほどまで人を見下すような優越感のあるの表情はなかった。
「そんなッ!!もうはやッ・・・!!」
リンは刀を取り出した。
心臓が一気に緊張する。慌てたような、悲観したような表情で、手を耳に当てた。
「
直後、大学校全体にサイレンが鳴り響く。
戦闘記録員という名の魔法士 @pao
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